第二話 ドラキー誘拐事件
村娘をどこか宿に預けようと言ったのだが、魔法が使えるのでついてくるとのこと。
当然、即答で許す訳にはいかなかったが、あまりに頑固だったため折れてしまった。
さえずりの塔は、アリーナたちが王様の声を取り戻すために登っており、今のメンバーなら敵にすらならないモンスターばかり。
念のため、ピサロとテレサに村娘の護衛を担当させることにした。
「そういえば、名前は?」
「え、名前?」
「なぜ動揺する。」
ピサロが追求すると、さらに動揺する村娘を見て、テレサは彼を睨み付けた。
どこかの白髪ソルジャーに似ているのだから、顔で怖がられることを考慮すべきだ、ピサロ。
「え、えーと。レナです。
得意な魔法はモシャスです」
「へえー。」
なぜかピサロから距離を置く村娘に、ベビタンはちょっと安心した。今、肩乗り状態で見つめられて人形のふりをするのは大変だ。
こんなときはテレサと一緒にいなくてよかったと思うのだ。
こうしてさえずりの塔に着くと、ユーリルは豪快に扉を開けて叫ぶ。
「頼もう!!」
「何やってるんですか。道場破りじゃないんですから!!」
「引っ込んでないで、正々堂々出てきなさい!!」
「アリーナ姫まで・・・・・・」
クリフトは大真面目に制し、テレサが呆れる中、村娘は姫という単語に動揺する。旅の者の中に、姫がいたら当然驚く。
驚く気持ちはわかるが、なぜか顔色が良くない。ピサロはとりあえず【ばんのうやく】を渡してみる。
【ばんのうやく】が視界に入っていないらしく、受け取らない。
仕方がなく、そのまま進むことにした。
立ち止まっていても進まないのだから、早く終わらせて解放してあげた方がいい。
と、登るのかと思ったら、一階の扉一つを開けたらアッサリいた。
さすがにエルフがいる塔の最上階に登る度胸モンスターではないらしい。
「いたわね、ドラキーを離しなさい!!」
「なんか青いのがいる。」
オークの中に1体だけ、色が違う奴がいる。
それを見た村娘は、動揺してテレサにもたれかかる。
「あれは・・・・・・オークキング」
オーガの上位種だ。
それを聞いた全員は固まった。
この世界にはオークの上位種であるオークキングどころか、オーク自体がはいないのである。
そう、今まで
オーガキングと勘違いしていたのである。(※オーガキングはリメイク版に登場しています。)
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