第1話 更なる戦いの地に 2/3
綺麗な青空でありながら、どこか不気味な空を眺める。気味が悪いな、セシルはそう感じた。友人のカインも同じように思ったらしい。
バロンの町に遊びに出掛けていたセシルとカイン。仮にも陛下の身になったセシルは、お忍びというわけだ。ミルクと酒を飲み交わして帰るつもりでいた二人だったが、バロン城に帰宅する際に異変が起きた。
はじめはどちらかだったのか、分からないが視界が唐突霞んだ。視界がはっきりした頃には見知らぬ森に迷い込んでいた。
綺麗な青空と見知らぬ森の中、二人は途方に暮れて立ち止まる訳でもなく、前に進んでいた。何故、そこで前に進めたのか。自分がバロンにいた時には思い出せなかった記憶のせいだろう。知らない世界で、コスモスとその世界の光のために戦った記憶だ。確証も根拠もないが、ここは知らない世界かもしれないと思えたのだ。

「セシル、気づいてるか」
「あぁ、何かいる」

二人で槍を構え、森を進む。魔物や猛獣がいることぐらいあり得る話だ。気を抜くつもりも、油断してやるつもりもはじめからない。カインが槍で木を叩くと、草むらからボムが飛び出してきた。久々に見掛けたボムに懐かしさを感じながら、セシルが真っ二つにする勢いで槍で貫く。ボムぐらいなら朝飯前だ。そう思っていた。しかし、セシルの重すぎる攻撃を食らうも、ボムは倒れることはなく、一気に膨らみ始めた。このまま自爆するつもりらしい。カインはボムの自爆より先に、更なる一撃を加える。まさか、セシルの一撃を耐えることは予想外だ。正直カインですら、セシルから殴られたくないと思っているほど力が強い。ここのボムはかなり強いことがわかる。

「ありがとう、カイン」
「かまわん。それより、まさかお前の一撃を耐えるとはな」
「ここのボムは鍛えられてるんじゃないかな」

強いボムを倒した二人は、さらに森を進む。早く森を抜けて町を見つけたいのだが、一向にゴールが見えてこない。特に持ち物を盗まれてはいないため、しばらく森を抜けられなくても生きてはいける。食べ物は現地調達でも問題ない。しかし、今の現状ぐらい把握しておきたかった。
暗くなり始め、二人は適当な場所で眠ろうと考えた。ちょうどその時に、自分たちがいる位置から近くに煙が立っていることに気づく。人がいる。二人は煙が立っている場所へと向かった。
鰐一匹を解体中の銀髪青年が、火の前にいる。その顔を彼らはよく知っていた。かつて戦った記憶にいたのだ。

「フリオニール?」
「セシル!!それにカインも!!
ここはお前たちの世界なのか」

セシルとカインは顔を見合わせた。
フリオニールの顔を見て、てっきり彼の住む世界に迷い込んだものと思っていたが、この反応が答えを出している。なら、ここはどこだというのか。
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