第10話 名のないリーダー 3/3
やって来たセシルたちもウォーリアには驚いたが、ポピュライトという名前を思い出して、勝手に納得する。光があるところに彼はいるのだ、と。
まずはフリオニールたちが説明を始めた。見知らぬ世界に来たことやレイナに助けられたこと。破壊されたクリスタル、ガイアの町の銭湯。そしてムシュフシュは旨いと。最後はどうでもいいとして、ウォーリアはガーデンプライスランドのクリスタルが壊された話は初耳だった様子。
次にウォーリアが自分がここに来た経緯を話してくれた。予想していた通り、ポピュライト元リーダーのやり方が気に入らなかったので倒したという。ここからはフリオニールたちが知らない話になる。

「ガイアのクリスタルが先日破壊されたようだ」
「でもオレたちがガイアの町を出るときは無事だったらしいぜ」
「そのあとか」

スコールが呟くと、みんなは黙ってしまった。その場に自分たちがいたらどうにかなったかもしれないと考えたからだ。過ぎたことを振り返る気のないウォーリアは話を続ける。

「私がクリスタルを守ろうとしている理由はあくまで推測に過ぎない。
もしかすると奴らのやることが正しい可能性もある。それでも構わないか」
「その推測次第だな」

それでもあなたについていきますなどスコールは言わなかった。しかし、彼はどんな推測であれウォーリアについていくだろう。

「私はガイアでクリスタルを見せてもらった」
「七賢者は!?」
「いなかったが、町の人はクリスタルの場所を知っていたようだ。頭を下げて見させてもらった。
・・・・・・クリスタルを見て感じたのだ。あの中で光が生きていると。
クリスタルは闇を漏れ出すことを光を利用して止めているように見えた。
人の影響で闇に染まったのなら、我々人が光に染め直すのが近道ではないのか。
破壊してしまうことが光の開放という奴らの意見は恐らく間違いではない。だが、それが膨大な闇の放出に繋がるような気がしてならないのだ。」
「クリスタル3つが破壊されているだろう段階で」
「いや2つだ」

レイナは驚いてウォーリアを見つめた。
ここはクリスタル破壊を推進する『審判者』の本拠地。普通なら先に破壊されるクリスタルはドラミルだ。あり得ることとしたら、クリスタルルームの場所を彼らは知らない可能性。このまま知らないことを祈る訳にはいかない。今は他にすべきことがある。

「ウォーリア、クリスタルのことはわかった。
俺たちはまずティーダたちを助けたいんだ。」

義士の彼に言われたウォーリアはスフィアとブリッツボールを見る。捕まった彼らを助け出す手段なら一応あるのだが、人選ミスだけは避けたかった。
当然、策とは敵地に入ること。敵地で暴れてきそうなバッツと迷子になりそうなラグナを入れるわけにはいかない。
敵兵の服は、実は先ほどウォーリアが確保していた。ポピュライトのリーダーを探していた敵兵二人を、盾で殴り飛ばして手に入れたのだ。

「敵の兵士のふりをする」
「もっといい手がある。えーと名前は」

レイナがウォーリアの呼び方に悩んでいるようだ。

「私に名はない。好きに呼んでくれて構わない」
「オレたちはウォーリア・オブ・ライトって呼んでる」
「スコールはまぶしいやつって言ってなかったか?」

彼女は決して本音を話さなかった。どこから見ても光の戦士には見えない。むしろ悪人面だ、とは言えなかった。
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