愛しい師匠 | ナノ


▼ 02.師匠の交友関係

機嫌の良し悪しで左右されてやる気などない人は多い。
しかし、機嫌を見ないKY(空気読めない)もボーダーにはいる。このジンジャーエールの持ち主にあたる。
不機嫌そうな女にランク戦ロビーでジンジャーエールをとられた持ち主は、臆すことがなかった。
周りのC級からしてみるとすごいことだ。
ジンジャーエールの持ち主である二宮は、如月にとられたジンジャーエールを眺めるしかなかった。
「吐け」なんて言うわけにはいかないのだから。

「自分の金があるんだから、自分で買え」
「男は女におごるもんだぜ?
いいことしたと思っておけ」
「ならまず女らしくしろ。
辻にまで男扱いされて悲しくならないのか?」
「・・・・・・そりゃ言わねぇのが筋だろ」

ジンジャーエールの入っていた瓶を二宮に投げつけ、悠々とソファーに座る。
その隣に座っていた嵐山はスマイルで二宮に譲ってきた。
隣に座る苦痛が二宮にはよくわかっていたのだが、譲られてしまったため座るしかない。
嵐山のスマイルは無敵だ、と言い出したのは誰だっただろうか。
如月の視線の先には個人ランク戦の映像がある。それを鬼の形相で見つめていた。
爪を噛むくせがあるわけではない彼女が、爪を通り越し親指に噛みついていた。
大層機嫌が悪そうだ。
嵐山のもとを訪ねに来た柿崎がそれを見て、10cmほど跳び跳ねたのを二宮は確認した。
強力な鬼の形相をかます女性はレアだな、ぐらいに感じているのは、烏丸やレイジ、二宮、風間だろう。
最後には気合いが入りすぎて気づけば立ち上がる如月がいた。

「なぜ腕を持ってかれてる・・・・・・ぶつぶつ
「・・・・・・落ち着け、C級が見てる。」
「あぁもしかして菊地原を見てるんですか?」

嵐山のスマイルをガン無視した如月。
しかし、無視に気づかない嵐山。
見ることに夢中過ぎて周りが聞こえないらしい。目をキラキラさせる嵐山がなんだかアツイ。
そして菊地原がロビーに出てやっと周りが聞こえるようになったらしい。

「あ、嵐山か。」
「今まで気づいてなかったんですか!!」
「如月さんの集中力羨ましいぐらいですね!!」

突っ込んだ柿崎と違い、嵐山はキラキラした純粋な目を向けたが、すでに見てはいなかった。
そして存在そのものがないかのように見捨てられた二宮は、空のジンジャーエールをしばらく眺めていた。

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