愛しい師匠 | ナノ


▼ 01.推薦者風間蒼也

歌川はその人選だけは誤りだと思った。
宇佐美はその人選だけはちょっと難しいと思った。
目の前で火花を散らされてはそうも感じるだろう。
ボーダー本部食堂のA級定食という海鮮丼と麻婆豆腐の上で睨み合いが繰り広げられている。
何故か目があった瞬間に睨み始めた二人を、通りすがりの東さんが見てその場から離れたとか。
そしてのちほど風間に
「如月を師匠にしようなんて思いきったな」と言ったらしい。
睨み合いは風間が口を開いたことで終わる。
二人の相性の悪さなど一目で誰しもがわかるはずだが気にしない風間。
すごいな風間さんは、とか考えている歌川も凄いと思う。
普通なら慌てて不自然でも構わないから引き離すのだが。

「どうだ、やれそうか?」
「始末するまで」
「乗った」
「え?」

歌川と宇佐美の頭の上にはクエッションマークが乗ったに違いない。
如月は何を「始末する」のか。
菊地原は一体何に「乗った」のか。
全く噛み合っていない二人だったが、何故か師弟関係が成立してしまった。
謎のやる気に包まれた二人を、歌川と宇佐美は不思議そうに眺めた。
この謎のやる気に包まれた二人が後にバカップル化するなど誰が想像しただろうか。
さすがの迅もその未来はないな、と思っていたのだから。
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