愛しい師匠 | ナノ


▼ 09.中学生の体育大会

如月は携帯を見つめ、考え込んだ。
その横には、朝からカツカレーを食べた風間がいた。
携帯に向かって舌打ちをした如月は、財布の中身を確認し、重ねて舌打ちをした。あまり裕福ではないらしい。
歩きスマホ反対派の風間は、如月からスマホを奪おうとする。しかし、身長が足りない。腕をあげられては届かない。風間はあきらめた。
通りすがりの家電製品屋に置かれたテレビで、天気予報を見始めた如月。そしてまた考え込む。結論にたどり着いたのか、如月はボーダーの宿舎の方へ走り出した。

「先に行け、あとでいく」

そういわれた風間は仕方がなく歩き出した。
体育大会など疲れるから嫌だという菊地原だっだが、風間が見に行くと明らかにやる気のない菊地原から抜け出していた。問題の競技は午後の種目のため、今のところ一位をとれている。
歌川はこのまま菊地原が長距離走までやらないかな、と願ってみたりした。そうなるわけもなく、歌川は疲れた顔をして入場口に向かった。
入場口にはカメラを構えた風間がいた。疲れた顔を撮られるわけにはいかない。歌川は両手で顔を叩いた。

「風間さん、来てくれたんですか」
「あぁ。宇佐美に頼まれたから写真撮るぞ。
友人と並べ」
「いや、長距離走は学年対抗で。
今、入場口にいるオレの学年はいないんじゃ・・・・・・」
「風間さん、カメラが古い」

気づいた時には菊地原がいた。
ぶつぶつカメラの質の文句を言いながら、写真に写る気満々のようだ。
カメラに文句を言われた風間は、スマホを取り出した。そちらの方が画質がよかったらしい。
写真を一枚撮っていると如月の姿が見えた。首を左右にせわしなく振っている。恐らくこちらを探しているのだろう。
風間が手を振る。小さい風間さんによく気づいたな、なんて菊地原は言わない。
如月は菊地原を見るとすぐに何かが入った袋を寄越した。ちょっと予想より重かったらしい。菊地原が面倒そうな顔をした。
袋のなかを覗いてみた。
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