ある夏の日

*原作銀土。

うだるような暑さに目眩を感じながら、土方はぼんやりと街中を歩いていた。
「暑いな・・・」
「本当でェ。・・・ったく、土方さんが死ぬならまだしも何で俺まで巡回に付き合わなきゃ・・・」
「何か言ったか?」
「無様にむごたらしく死ねって言いやした」
「・・・・っ」
怒りで一瞬顔が熱くなったがそれを堪え、土方はまた前を向きなおす。
沖田の悪口を一々相手にしていてらキリがない。
「それにしても・・・」
本当に暑いな、と土方は一人ごちた。
こんなに暑いのに、万事屋にはクーラーがないと言うのだから痛ましい。
銀時よりも子供達の方が心配だ。と、その時、
「あれって旦那じゃないですかい?」
沖田の言葉に顔を上げる。
はるか前方にゆらゆらと揺れる銀髪が見えた。
「旦那、久しぶり」
「おー、総五郎君。と、多串君も。お久しぶり〜」
「名前間違いすぎだ馬鹿。暑さで元々悪い頭がさらに沸いちまったのか?」
土方の悪態に何故か頬を緩める銀時。その様子を眺めていた沖田は分かりやすく顔をしかめた。
「あーあー、ホモップルのじゃれあいなんて誰も見たくないでさぁ。とゆーことで俺はこれにて失礼させてもらいやすぜ」
「なっ・・・誰がホモップルだ!!」
すでに小さくなった背中に叫び土方は赤くなった顔で銀時を睨んだ。
「てめぇのせいで、また俺のいらん心労が増えたわ馬鹿!」
「えー俺のせい?」
困ったように笑う銀時に予期せず胸が高なる。
こんな些細な事に反応してしまう自分に嫌気が差した。
「そだ、土方聞いて。俺今日さ、珍しく死ぬ気で働いてきたんだぜ。んで、ガッポリ儲けてきた。もしかしたら今月中にはクーラー買えるかもしんねぇんだ」
「!!マジか。良かったじゃねぇか!これでガキ達も喜ぶな」
素直に嬉しがる土方に銀時も思わず笑みを浮かべる。
「なーんかさ、俺達新婚さんみたいだな」
「死ね馬鹿」
「一番熱いのは俺達でした、なんつって」
「・・・死ね」
呟く土方の顔にさらに赤みが増したのはきっと気のせいじゃないだろう。

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