久しぶりに会ったあの人は美人でした。


「資料をご覧下さい、ご覧の通りの結果になっております。また、牛鬼の爪の成分は────」

白澤様の声のスピードに合わせて、パソコンのマウスポインターを動かす。
エクセルで統計を求め、パワーポイントでグラフを出し、統計とグラフを一緒にスクリーンに映し出す。
白澤様の使う資料を、使う順番に渡す。
あたしは、彼の付き人だから。

「────以上で、私の発表とさせていただきます。何か質問などはございますか?」

チラホラと増えてゆく挙手の数。
それ程、白澤様の発表に興味を持ったということ。
ふと、白澤様の横顔が目に入った。
…仕事をしている姿は、かっこいいなぁ。
女の子が寄ってくるのも、なんだかわかる気がする。

「────、?なまえ?どうしたの?」
「…え、あ、はい。何でもないです。」
「そう?無理しちゃダメだよ。あ、3番の資料をくれる?」

…いけないいけない。
余計なことを考えちゃ。
何やってんだあたし。
フゥっと息を吐いて、目の前にある資料に集中をした。



*****




「────やっと終わったぁー!!」
「お疲れ様でした、白澤様」
「なまえもありがとね、君のおかげで発表もスムーズにいったよ」

ふにゃっと笑う白澤様に笑みを浮かべた。
お茶が入ったペットボトルを差し出せば、ありがとうと受け取る。
ゴクゴクと、あっという間に飲み干した空のペットボトルを白澤様から受け取った。

「取り敢えず明日まではここにいるからゆっくりできるね。疲れたでしょ?この後どうする?お昼ご飯でも食べに行く?」

ニコッと、優しく笑った白澤様に少しだけトクンと胸が高鳴った。

「・・・なまえ?どうかしたの?」
「…あ、いえ!ご飯食べたいです!」
「…?変なの」

…無駄に顔だけはいいからホントタチ悪い。
思わず胸が高鳴ったじゃないか。
少しだけ悔しいような感じもするけれど。



お昼も食べ終わってお店を出た。
時刻はまだ2時ちょい前。
ここのパスタ美味しかったなー。
また来てみたいかも。

「…さて、と。ご飯も食べたし今日はあと自由行動にしようか。なまえはどうする?僕と行動する?」
「あ、いえ。すいません、実はリリス様と約束がありまして…」
「リリスちゃんと?へー、僕も行ってもいい?」
「…白澤くんはダメよ〜」

ふと後ろから聞こえた声にパッと振り返った。
いい香りの香水と共に、ばっちりメイクのリリス様の姿。

「リリス様!」
「いやーん久しぶりなまえ〜!迎えに来たのよ〜」

相変わらず、おしゃれなリリス様がちょっとだけ羨ましい。
手を握り合ってリリス様は笑った。

「ごめんなさいね白澤くん。なまえ一日だけ借りるわね」
「え〜ずるいなー!僕も混ざりたーい」
「だーめ。女子トークは男子禁制よ〜」

じゃあ行きましょう。
そう言って手を引っ張るリリス様に身をあずけた。

「すいません白澤様、夜までには帰ります」
「いってらっしゃーい。気をつけてねー」

そう言って手を振り返してくれた白澤様にニコッと笑って、あたしはそのままリリス様の屋敷へと向かった。



久しぶりに会ったあの人は美人でした。

「そういえばリリス様、あそこのパスタ美味しいですね」
「あ、なまえも食べたの?あそこ巷では結構有名なお店なのよ〜」
「そうなんですか?また食べに行きたいです!」
「じゃあ今度は私と二人で食べに行きましょうね」
「はい!」


デートの約束をしちゃいました!

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