どう償えばいいかな


視界の端っこで僅かにふらついたその華奢な体。
見間違えるはずがなかった。
ずっとずっと会いたかった彼女。
たまたま用事があって閻魔殿に訪れていただけ。
本当に偶然だった。

「、っなまえ」

ふらつくその瞬間、間に合わないって分かっているけれど、それでも体は無意識になまえへ向けていた。
だけど、その隣にはあの朴念仁の姿があって。
そのなまえの体は彼によって間一髪支えられた。

「、っ…」

分かってる、自分が行っちゃだめな事位。
自分で自分の首を締めたんだ。
そのまま意識を失ったなまえを抱き抱えたままどこかへ運ぼうとしている鬼灯の姿に思わずさっと物陰に隠れてしまった。
大丈夫かな、なまえ。
心配で今すぐにも抱きしめたい気持ちでいっぱいになる。
――――僕にはそんな資格なんてないのに。
罪悪感と、悔しさを抱えながら静かにその場を去った。
そんな白澤の後ろ姿を、鬼灯がじっと見つめていた事なんか知らずに。



どう償えばいいかな

ごめんね、その一言しか出てこない。
だって彼女のトラウマを抉ったのは間違いなく僕だから。
どう償えば君は僕を許してくれる?
誰か教えてよ。


どうしたら僕を好きになってくれますか。

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