03

気づいたときにはもう、身体が動いていた。
軋む身体を、どうにか動かして宙に舞ったその華奢な身体を受け止めた。
その勢い、そのまま自分も一緒に転がり込む。

「ぅ、」

抱きとめたその身体はもうボロボロで。

「…りく、お」
「────しおり、」

か細く、弱々しい声で、すがりつくようなしおりの頬を優しく撫でた。
血の甘い香りにむせ返りそうになる。

「よか、った…まだ、生きて────」

血が滾るのを実感した。


*****


「なんだおめー…なぜ壊れない?」

何度も、何度も何度も何度も。
いくら倒されても幾度もなく土蜘蛛に立ちあがった。

「ダメだ…ボクは、大将なんだ…から、」

ボロボロの身体で、消えてしまいそうな畏で、リクオは立ち上がった。
まだ戦える。しおりが、組の奴らが居てくれればまだ戦える。

「…お前、やるじゃねぇか」

何度壊しても、それでも立ち上がるその姿に土蜘蛛は興味が沸いた。
今、殺してしまうのは惜しい。
そして、それはどうやら先ほどの人間が関係あるようで。

「いい暇つぶしになりそうだ」

ニタリと笑いを浮かべた。
不敵な笑み。
そして、大きな指で摘まみ上げたのは。

「あぁ…!?う、てめ…何しやがる!!!」

ボロボロで意識を失ったしおりの姿だった。

「っふざけんな!!しおりっ返しやがれ!!」
「オレは相剋寺ってとこにいるぜ。来いよ、自慢の百鬼を連れてな」
「おいっ待て!!」

取り返そうと刀を杖にして立ち上がろうとした。
けれど、リクオの身体はもう限界を迎えていた。
やめろ。返せ、オレの大事なものを奪わないでくれ。

「土蜘蛛っ…!!」

足はもう動かなくて。
身体はもう言う事を聞かなくて。

「土蜘蛛────────!!!!!!」

自分の弱さに、不甲斐なさを酷く呪った。

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