01
「うわあああん!!のさるのばかーーー!!!もう、ブルーベルのまけでいいわよーーーっ!!!」
ブルーベルは、もりのなかで、のさるとかくれんぼしてたのに。
いない、いないいないいないどこよーっ!!ってさがしまくっていたら、いつのまにか、ぜんぜんしらないとこにいた。
あまりとおくにいってはいけませんよ、って桔梗にはいわれてたけど、むちゅうになってあそんでたら、そんなのわすれちゃうじゃない?
「にゅーっ!!なんでへんじしないのよぅっ!!ブルーベルが、まけてあげるっていってるのよ!!ありがたいとおもいなさいよーーーっ!!」
……でも。のさるはでてきてくれない。
かぜにゆれて、あかやきいろになったはっぱが、ざわざわしずかにゆれてるだけ。
あるくと、つちにおちてるはっぱが、ブルーベルのあしにふまれて、カサカサおとをたてるだけ。
「あ…」
かぜと、はっぱだけじゃない。
ことりさんのこえ。
それから、だれかがうたってるこえ。
おとこのこの、こえ。
でも、のさるみたいに、ブルーベルとおなじくらいのこどものこえじゃなくて、…ちょっと、おにいさんっぽいうたごえ。
なんていう、うたなのかな。
ブルーベル、そっちのほうにいってみた。
「みずうみ…?」
きれいな、あお。
ブルーベルがだいすきな、みずのあお。
きれいなあおのなかで、きれいなこえが、やさしいうたをうたってる。
……あのひとだわ。
あれって、ジャッポーネの「がくせいふく」だったっけ?
ちゅうがくせいとか、こうこうせいとか、きるふく。
ちゅうがくせい、かな。
びゃくらんや、桔梗より、けっこうちいさいもん。
あ…ことりさん、いっぱい。
ちかくのきのえだにとまって、まるであのひとのうたを、きいてるみたい。
やさしい、こえ。
そのひとがてをのばしたら、ことりさんがチチチってないて、てやかたにとまった。
「きゃ…!」
バサバサって、たくさんのとりさんが、いっぺんにとんで…にげちゃった。
ブルーベルの、せい?
ことりさんは、きっとあのひとがすきで、あのひとのうたをきいていたのに、ブルーベルがきたから、とおくにいっちゃったの…?
「……遠くには、行っていないよ」
ブルーベル、びっくりした。
ブルーベルはなにもいっていないのに、そのひとが、こっちをふりかえらないまんま、ブルーベルのこころにおへんじをしたから。
「あの小鳥たちは、人間にえさを貰ったこともない、本当の野生の鳥だから、人間が来るとびっくりして逃げてしまうんだ。でも、この辺りに住んでいるから、また戻ってくるよ」
こうちゃいろの、かみのけだけど、おひさまのひかりがあたって、かぜがふわっとふくと、すこしきんいろにゆれてみえる。
「にゅ…。あんただって、にんげんでしょ」
「……どうかな」
「にゅーっ!どうかな、ってなによぅっ!!にんげんじゃなかったら、なんなのよー!!」
「……何なのかな」
「ブルーベルのほうが、きいてるのよ!!」
そこまでいって、ブルーベルは、きゅうにこわくなった。
ことりさんは、こわがらないけど。
このひとは、にんげんじゃ、ないのかもしれないって……いってるの…?
「…大丈夫だよ。僕は、君に何もしない」
はじめて、そのひとが、ふりかえった。
「僕には、何も出来ない」
みどりのめをして、やさしそうにわらってる。
どうしてか、ブルーベル、ほっぺたあつくなった。
「にゅっ。フツーだわ」
ブルーベル、べつにおこってないのに、おこってるみたいなこえになっちゃった。
「イケメンじゃないわ」
「…………」
「にほんじんのひっすあいてむ・めがね」
「…………」
そのひと、きょとんとして、それからこまったみたいなおかおでわらった。
「僕、眼鏡がないと、殆ど目が見えないんだよ。……まあ、白蘭サンの1万分の1も格好良くないけど」
ブルーベル、おどろいた。
「びゃくらん、しってるの?」
「……知っているよ。君が会いたい人だろう?」
「うん…」
のさるとかくれんぼしてたけど、のさるはユニのところに、ブルーベルはびゃくらんのところにかえるんだもの。
「…ねえ。さっきのうた、なんていうの?」
「え…?」
めがねのひと、しつもんされるとおもってなかった、っていうおかおしたけど、おしえてくれた。
「ブラペパのバラードで、Forever Love だよ」
「ぶらぺぱ?…ふぉ…え、…?」
くすって、そのひとはわらった。
「"Forever Love" …永遠の愛、っていう意味」
ブルーベル、まっかっかになった。
えいえんの、あい…!!おとなの、ことばだわ!!
「にゅにゅーーーっ!!なによーっ!!----の、…」
(----のくせにーーーっ!!)
(あはは、ごめんね)
ブルーベルは、ことばをつなげられなくて、とまっちゃった。
----のぶぶんって、なに…?
ブルーベルは、しってるようなきがするのに。
それは、きっと、このひとの…
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[図書室68]
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