01

「ブルーベル。気持ちは解りますが、今日はその格好は寒いですよ」
「にゅっ。ヘイキよ桔梗。寒くないわ。女は気合いなのよ」
「要するに、入江に見せたい気合い満々なんだな」
「ザクロの電波うるっさあぁぁい!!」
「まあまあ、ブルーベル。せっかくブルーベルが自分で選んだ服だもんね。正チャンもきっと似合うって思ってくれるから、ブルーベルも可愛い笑顔でいてあげようよ」

にっこりしながら、ブルーベルの頭をぽんぽんしてくれるびゃくらん。
で…でも、何だかむずかしいこと言われたわ。新しい服って、けっこうきんちょうするのよ。入江はだいたいほめてくれるけど、それでもどう思ってくれるのか、ドキドキしちゃって、ブルーベルはいっつもむずかしいお顔しちゃうのよ。

今、ブルーベルが着てるのは、ふわっとしたピンク色のニットカーディガン。
でも、いかにもピンクです!っていうんじゃなくて、ペールピンク、って桔梗が教えてくれたわ。上品なピンク色よ。

首元や、えりやそでは、同じ毛糸なんだけど、綺麗なレースみたいに編んであるの。ボタンの回りはちょっと大きめにひらひらした感じに編んであるのが、とってもかわいいの。びゃくらんがいってたわ。着こなしで、普段着からフォーマルまで使えるよって。

これ、ブルーベルが自分でえらんだのよ。
ブルーベル、われながら、いいセンスだわ。びゃくらんや桔梗にほめてもらえるくらい、可愛いカーディガンなのよ。

それに、今日がさむい日なんて、ブルーベルもわかってるわよ。だから、クリーム色のベロアのスカートはインナーパンツ付きだもん。このインナーパンツのレースが、スカートの裾からチラッと見えて、レース大好きのブルーベルのお気に入り。
そのインナーパンツの下には、ガッチリタイツよ。ただ白いんじゃなくて、赤い小花柄が可愛くて、ガッチリ防寒を兼ねてるわ。靴も、リボンが付いた赤いショートブーツ。

「女は、腰をひやさなければいいのよ!ブルーベルかんぺきっ!!」
「腰を冷やさずに入江の子どもを1ダース産むんだな」
「………………………………………」
「ザクロ、セクハラはお止めなさい。ブルーベルが気絶しそうです」

気絶しそうになってたら、びゃくらんの声が聞こえた。
「ブルーベル、正チャンが来たよ」

どっきん、として振り向くと、
「やあ、ブルーベル」

入江はいつも通りやさしくにっこり。
格好は、無難なジャンパーに無難なジーンズ。

「ずるいわっ!!」
「え?何が?」

いつも、ブルーベルばっかりおしゃれして、入江にどう思ってくれるか気にしてドキドキして、なのに入江はユ@クロかイ@ンだわ!!ブラペパっぽい服以外は!!

「それとも、し@むら!?」
「…………」

入江はきょとんとして、それから困ったお顔で笑った。
「少なくとも、ブランドものの服は持っていないよ」
「にゅーっ!無難〜な服を無難〜に着てくるだけで、ブルーベルばっかりドキドキはずるいのよっ!!」
「…………」

沈黙、10秒。

「おい、入江。今、電波がすげー愛の電波を飛ばしたぜ。交信してやれや」
「…………」

ブルーベル、ぐらぐらした。いっそ気絶したい。

「僕は、君がお洒落してくれるの、嬉しいよ」
入江、大人のよゆうでにっこり。

「そのカーディガン、買って貰ったの?」
ブルーベルがまだぐらぐらして答えられずにいると、びゃくらんがマシマロもふもふ食べながら言った。

「ん、買ってあげたのは僕だけど、ブルーベルが自分で選んだんだよ」
「…そうなんだ」

入江が、ブルーベルを見た。
「ふわふわして可愛いね。上品なピンク色でよく似合っているよ」

……じょうひん。

そうよ。コーディネート次第でフォーマルでもOKなんだもの。
ごうかくよ!入江。

「それから…」
くす、って入江が笑った。

「いちごみたい」
「……いちご?」
「カーディガンがピンクで、スカートがクリーム色で、靴が赤だから。そういう可愛いお菓子ってあるよね」

……そう言われてみれば、今日のブルーベル、ストロベリー風味よ。
この間食べた、いちごのムースケーキがそんな感じで可愛かったわ。

「ハハン、つまり貴方はブルーベルを食べたいのですね、入江正一」
「どうしてそうなるんだよ!!」

入江真っ赤。
「にゅ。何のこと?」
「…………」
「アハハッ、正チャン眩暈を起こしてないで、デートに行って来なよ」

よく分かんないけど、入江がリ・ボーンして言った。
「上着は?」
「カーディガンが上着よ」
「今日、結構寒いよ。上に何か着た方がいいよ」
「…………」

ブルーベル、不覚よ。
「入江のバカーーーっ!!!…にゅ?」

泣きたくなって、自分の部屋に走ろうとしたら、ブルーベルはわきをささえられて、ぷら〜んとからだが持ち上げられてた。

「乙女の気合いの時」
「にゅにゅーーーっ!!トリカブト、そこにいたのっ!?でっかいくせにおきものみたいに動かないから、存在感うすっ!!」

「……気合い?」
うしろから、不思議そうな入江の声がして、ザクロがまたよけいなこと言った。

「あ〜、電波の奴、寒いだろって言ってんのに、そのカーディガンお前に見せる気満々で、それ以上着たくないって電波な事言うのよ」
「ザクロうるっさあぁぁい!!なにげに電波2回も言ったーっ!!!」

それに、それに!ブルーベルが選んだカーディガン見せたかったのはホントだけど、そういうのは、何となくわかってもらえるだけでいいのに。入江の前でバラして欲しくなんかなかったのに…

ブルーベル、泣いちゃうよ。
うわあああん!!って、ちっちゃい子みたいに泣いちゃうんだからーっ!!

「じゃあ、そのままで出掛けようか」

……にゅ?

トリカブトが、ブルーベルを、床にぽてんって下ろしてくれて、ブルーベルは入江をふり返った。

「そのままでいいよ」

にこって、やさしく入江が笑う。

「気合い入れなくていいから」
「にゅーっ!入江、やさしいのかイジワルなのかわかんないわっ!」
「僕が、君に意地悪をしたことって、あったかな」

……ない、と思うわ。

「アハハッ、仲良しだねふたりとも♪」
「人前で愛の電波で交信してないで、さっさとデートとやらに行けやバーロー」
「ザクロうるっさあぁぁい!!あんたが電波よバーロー!!」
「ブルーベル、口癖うつってるよ…」

入江がブルーベルの手を引いて外に出た。

…さむいぃぃぃ!!!
 

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