01

データの画像を見たときには、何この暗いガリ勉メガネって思ったわ。コイツの何が良かったのよ、って。
びゃくらんは、とってもとってもキレイカッコイイ人なのに、何でコイツが親友?

「にゅ〜。納得いかない」
「そうかい?正チャンって結構面白い子なんだよ」

びゃくらんが、マシマロ食べながらにこにこ笑う。
「確かに正チャンは勉強家だけどさ、天才だからそんなにガリ勉やらなくてもいーの。見かけに寄らず結構ゲーマーだし、僕とは気が合ったんだよ」
「気が合うくせに、どーしてケンカするの?」
「アハハッ、ケンカかあ」

びゃくらんは、おかしそうに言った。
「まあ、派手なケンカだよねえ。この世界の命運がかかってるなんてさ」

びゃくらんは、綺麗な紫色の目をスッと細めた。こーゆー目のびゃくらんは、大抵とっても残酷な何かを考えてる。ブルーベルは好きだけどね。

「何より、親友で殺し合いのケンカなんて、なかなかないよ。フツー、殺し合いまで行っちゃったら、もう友達じゃないよね」
「そうなの?ブルーベルお友達いないからわかんない」
「あー、お前いかにも友達いないタイプだもんな」
「うるっさいザクロ。ブルーベルは泳げればいーのよ。表彰台のてっぺんよ。ほかのヤツなんてブルーベルに踏み潰されてればいーのよ」

そう。ブルーベルは人間なんてどーでもいいわ。だから、ぶっ殺しても平気。
平気なだけじゃなくて、よくできたねってびゃくらんが褒めてくれるのが嬉しいの。どいつもこいつも、ブルーベルに殺されちゃえばいーんだ。

「ブルーベル。正チャンに興味があるのかい?」
「…………」

ブルーベル、何となく黙っちゃった。
…なぁに?コレ。きまりわるい、ってこんな感じ?

「…入江といっしょにいるびゃくらんを見たいわ。だって、ブルーベルはびゃくらんが大学生の頃って知らないもん」
「アハハッ、そうだよね。<神>にも人並みに大学時代があるって、何ソレって」
「桔梗は、神って言ってないよ。びゃくらんは悪魔」
「あ、言われたことあるよ。桔梗チャンは、どうやら神様より悪魔が好きみたいだね」

びゃくらんは笑うけど、ブルーベルにはよくわかんない。
びゃくらんてば、人間?神様?悪魔?

ブルーベルは、うーんって考えたけど、やめた。
「どれでもいいわ。びゃくらんは、びゃくらんよ」
「ふぅん…?」

びゃくらんは、長い睫毛をぱちぱちしたあと、にっこり笑ってくれた。
「僕は僕…かあ。それって当たり前だけどさ、何だか深いこと言うね、ブルーベル」
「そうなの?」
「じゃー、その僕は僕、っていうの見ておいで。ホログラム加工してあるからさ」
「にゅ?」

ブルーベルは、いつのまにか、ひとりでレンガの道に立ってた。道の脇は芝生やお花や木が植えてあって、公園っぽい風景。
ここどこ?って思ってると、びゃくらんの声がして振り返った。

「びゃくらん、どーしたの?」

でも、びゃくらんは、ブルーベルの方を見ない。
その代わりに、隣にいる眼鏡をかけた人…入江と楽しそうに何か喋ってる。

……そう。とっても楽しそうだわ。
ブルーベルがそう思っていると、ふたりはブルーベルにぶつからないで、まぼろしみたいに、ふっとすり抜けた。

そっか。これって、びゃくらんが記録した画像や動画を3次元加工して、ブルーベルはその世界にいるんだ。

場面は、くるくる変わった。大学の学食とか、講義室とか、カフェとか、多分入江の狭っこい部屋とか、びゃくらんの広くてセンスのいい部屋とか。
ふたりでゲームをしてたり、お勉強の話をしてたり、何人かの仲間っぽい人達と旅行に行ったり……

いろいろ、いっぱいあった。
いっぱいあるのに、変わらないのは、「びゃくらんの隣には、必ず入江がいる」…っていうことだった。

赤茶の癖っ毛で、グリーンアイズ。
よく笑って、すぐ照れて、からかわれるとキレる。でもくそまじめにキレるのが返って面白いからって、びゃくらんは調子に乗って弄ってる。当然入江は怒るんだけど、びゃくらんのこと、結局許しちゃう。

(仕方がないなあ、白蘭サンは)

チビかと思ったけど、周りのひとと比べるとそうでもないのね。入江も案外も高い方なんじゃないかな、びゃくらんの背がもっと高いだけで。まあ、モヤシっぽいけど、それはスリムな東洋人だからそう見えるのかな?

……優しそうなひと。ううん、きっと、ホントに優しいの。
ワガママで気紛れで、ふざけんぼなのは、いつもびゃくらんだわ。意地悪なのも、びゃくらん。入江は真面目に、ダメなものはダメです!ってハッキリ叱るけど、絶対にびゃくらんから離れて行かないの。

そんな入江の隣で、楽しそうに笑ってるびゃくらん。ブルーベルたちと一緒にいるときよりも、ずっと。
ずっと…

何よ。何なの?
ブルーベルは気に入らないわ。気に入らない。

でも…。
気に入らない。けど…

「びゃくらんはびゃくらん」なのよ。
 

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