01

 
これって、デートなのかな。

……わかんない。
だって、ブルーベルはこどもだもの。ちっちゃいもの。

入江は、ちゅうがくせいのときから、
「僕も子どもだよ」
っていうけど、ちゅうがくせいはおとなよ。
こうこうせいになっちゃった入江は、もっとおとなになっちゃったのよ。

ブルーベルにもおたんじょうびはくるけど、入江からみたらやっぱりちいさいおんなのこのまんまだとおもうの。

入江は、ときどきブルーベルをこうしておそとにつれていってくれる。

もりのなかをおさんぽのときもあるし、きれいなおはなをみせてくれるときもあるし、まちをあるいてつかれたらジュースをおごってくれたりするけど。

入江がなにをかんがえてるのか、わかんないわ。

わかるのは、ブルーベルのほうが、入江にあいたいっておもってて、きてくれるのをまってて、それがなんだかムカついて、…でも、きてくれたときにはとってもうれしくって、ほっぺたがあかくなるって、それだけよ。

……やっぱり、ムカついて、…ちょっと、さびしいわ。
ちょっと、だけよ。

もうすぐ、おわかれのじかん。
だって、ゆうがたになると入江はブルーベルをおやしきまでおくっていくもの。
「じゃあ、またね」っていなくなってしまうもの。

ゆうがたまでなのは、ブルーベルがちっちゃいからよ。
「白蘭サンたちが心配するよ」
っていうけど、びゃくらんはしんぱいなんかしないわ。

びゃくらんなら、ブルーベルがどこにいたって、しろいはねでとんできて、「みーつけた♪」ってかくれんぼみたいにわらってくれるもの。

いま、ブルーベルと入江は、だまってベンチにすわってる。
…すわってるだけ。

くっついいるようで、そうじゃない。
10センチくらいあけて。

どうして?
入江はちゃんととなりにいるのに、とてもながいながい10センチで、入江とブルーベルのあいだには、めにみえないかべがあるようなきがしてしまうのよ。

あおかったそらが、オレンジいろになってきて、もうすぐゆうがただよっていってる。
…もうすぐ、おわかれのじかんだよって、いってる。

なのに、入江はだまったまま。
ブルーベルもだまったまま。

なによ、これ。
ふたりでおでかけしたいみが、ないじゃない。

もう、ベンチからおりちゃえっておもったとき、入江のてがじゃまをした。
ブルーベルの手に、そっと入江の手をかさねて。

ブルーベルは、ほっぺたあつくなっちゃった。
てをつないであるくなんて、いつものことなのに。

そうして、ブルーベルと入江は、てをかさねたままでいた。
5ふん…10ぷん?…わからない。
ただ、しんぞうがドキドキしてて。

ながかった10センチはゼロになってて。

ブルーベル、がまんできなくなって、いっちゃった。

「…どーして、ずっとだまってるのよっ!」
「つまらなかった?」

う、ってブルーベルはこまっちゃった。
べつに、つまらなくは、なかったわ。

「でも、なにもしてなかったでしょ」
「そう?僕は、ずっと君の傍にいたよ」
「そばにいただけじゃないのっ!」
「ごめんね」

ブルーベル、どうしてか、きずついた。
あやまらないでほしかったのよ。

「…もう、かえる」
「ブルーベル」

入江は、こまったお顔で笑った。

「僕は、君が傍にいてくれるだけで、嬉しかったんだよ」
「…………」

ブルーベル、まっかっかになっちゃったじゃないの!

「にゅにゅーーーっ!入江のくせに、ころしもんくーーー!!!」
「あはは、ごめんね」
「ごめんね、じゃなぁいっ!」
「じゃあ、取り消すよ」

入江は笑った。

「僕は、君が好きだよ、ブルーベル」

手は、かさねられたままで、10センチはゼロで、めにみえないかべなんかなくて。
ブルーベルは、さけんじゃった。

「じゃー、ブルーベルも入江をすきになってあげてもいいわっ!」

…ブルーベルえらそう。

「ありがとう」

わらってくれた入江は、やっぱりおとなだとおもうのよ。






〜Fin.〜

 

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