02

チョイス、終わっちゃった。
びゃくらんは面白かったみたいだけど、ブルーベルはこういうの、「あっけない」っていうのよねーって、ちょっと思った。

だって、終わってみて分かっちゃったんだもん。びゃくらんは、始めからずるっこしてたのよ。チョイスで選ばれるメンバーは、ルーレットの振りしてぜーんぶ白蘭が決めていたのよ。

まず、完全敗北ですーってボンゴレを絶望に突き落とすには、必ずメンバーにはボンゴレ]世と、その右腕と、肩甲骨は揃っていなきゃならなかった。そうでしょ?びゃくらん。
それから、無属性をふたりにすれば、ひとりはマフィアの技術屋スパナにするしかないけど、まさかもうひとりを、一般人の女の子にする訳には行かない。

そこに、しゃしゃり出てくるのが、本当は晴属性の入江よ。

死ぬ気の炎の強い人間は、リングが無くても炎を灯せるけど、入江は違う。入江はリングを取り上げてしまえば、何の力も無いもやしっ子。

でも、びゃくらんは、知っていたんだわ。
入江は、必ず無属性として戦いに出てくるって。よわっちいくせに、世界を守るとかお綺麗なことを言ってびゃくらんを裏切った入江は、必ず戦いに来るって信じて……

……あれ?
びゃくらん。

どうして、殺しちゃう入江のこと、信じてるの…?

ああもう、どうでもいいわよ、そんな事!
とにかく、勝ったのよ。びゃくらんがずるっこして、標的の炎をデイジーにくっつけたから。だって、デイジーは死ねないもん。必ずリ・ボーンしちゃうのよ。
桔梗やトリカブトが強いとか、ソレがなくたって、デイジーだけで勝てちゃう。あとは、チョイスが退屈にならないように、ハハンな桔梗がびゃくらん好みの演出をすればいいの。

「ありきたりな勝利」には飽きているびゃくらんの為に、桔梗は入江を一発では殺さなかった。
心臓ぶち抜けばキレイに一発だし、頭でもいいわね。脳味噌と脳漿ぶちまけて、首無し人形みたいにしても面白いし、お人形ならユニとお揃いなんだけどなー。

でも、ホンモノの入江を見ていて分かったわ。
桔梗は、入江を「じわじわ死なせてやる」演出をしたのよ。

世界を守れなかったとか、できそこないヒーローみたいな気持ちで、「チョイスの再戦」もびゃくらんに断られて、もうびゃくらんは親友じゃないよって入江を見捨てたんだって絶望しながら、腹をぶち抜かれた痛みと出血の中で死んでゆく。

びゃくらんは、そんな入江に、明るく笑って「残念だね、ばいばい正チャン♪」って言ってあげたかったのね。
そうするのが、びゃくらんの最高のお楽しみだったのね。

でも…そのくらい、やっぱり入江は、びゃくらんの「特別」だったのね。

……気に入らない。やっぱり、気に入らないわ。
これから、びゃくらんは新しい世界を作ろうとしているけど、このチョイスは入江とのお別れ会なんて言ってるけど、入江はずっと、びゃくらんの想い出に残るのよ。

「びゃくらん!もういいでしょ?ブルーベルは、さっさとこのメガネを殺したいの!」

びゃくらんは大好きだけど、ここはブルーベル、邪魔したいわ。
だって、びゃくらんが苦しんでいる入江を観たいのは、びゃくらんは入江が特別で、本当は……だいすき、だからなのよ。

「ねえ入江。ブルーベルは、あんたが大嫌い。桔梗は一発で殺さないのが面白いって“演出”したみたいだけど、ブルーベルは、ブルーベルの手であんたを一発で殺してあげるのが、一番面白いのよ」

倒れている入江は、ぼんやりとブルーベルを見上げた。
あ、結構もう意識が遠のいてるわね。さっさと殺さなきゃ。気絶しちゃってからじゃあ、怖がってる顔が見られなくてつまんないもの。

「入江、死んでよ」

ブルーベルは笑った。

「ブルーベルの為に死んでよ。あんたなんか、もう要らないのよ」
「…………」

さあ、怖がりなさいよ。死ぬのは怖いっていう顔しなさいよ。
ブルーベルは桔梗と違って気が短いのよ。

「……要らない、んだね」
「当たり前でしょ」
「だったら…いいよ」

ブルーベルは、驚いた。
入江が、ふわって、優しく笑ったから。

「君に…僕が要らないなら、殺して、いいよ…」
「…………」
「僕を殺して…君が笑顔になれるのなら…、僕は、それで……」

ブルーベルは、意味が分からなかった。
入江…何を言っているの?

「…ブルーベル」
「何よ」
「僕が死ぬから…。殺すのは、僕だけにしてくれないかな……」

一瞬、死んじゃイヤだって思って、でもそんな自分が許せないって、ブルーベルは思った。
僕だけとか、どうしてブルーベルがそんなお願いきいてあげなきゃいけないの?ブルーベルは今までいっぱい殺してきたし、これからもいっぱい殺すのよ。そうすれば、びゃくらんが褒めてくれて、もっとブルーベルのことを好きになってくれるのよ。

「死んじゃえ!」

ブルーベルは水で竜巻を起こして、入江をその中で溺れさせて、アスファルトに叩き付けた。

入江は、死んだ。
溺れて呼吸が出来ないなんて、きっと苦しい死に方のはずなのに、水浸しになったアスファルトの上で、眠るような顔で死んでた。

「あーもー、お転婆だなあ、ブルーベルは」
後ろからびゃくらんが歩いて来て、ブルーベルの頭をぽんぽんってしてくれた。

「でも、優しいね。正チャン、すっごく幸せそうなお顔で死んでるじゃない?」
「………っ」

ブルーベルは、茫然と立ち尽くしていた。
だって…ブルーベルは、優しくなんか、ないのよ。

(君が笑顔になれるのなら…)

どうして…?
ブルーベル、笑えないよ。笑い方が、分からないよ。

入江を殺したら、嬉しくなるはずなのに。
ブルーベルは、ちっとも嬉しくなんかない…!

涙が、ぽろぽろ、こぼれ落ちる。
もう、遅いのに。

入江は、死んじゃったのに。
ブルーベルが、殺してしまったのに…!


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