01

ブルーベルが足を止めたので、何だろうと正一も足を止めてみると、民家の塀でのんびりとくつろいでいる猫2匹。

「かわいい。おかおにてる」
「…そう?」

顔…似てるだろうか。正一の目には、2匹の模様がややずれた感じではあるものの、どちらも白と黒のぶち猫だ、という事しか分からない。
「猫って、基本は単独行動のはずだから、一緒にいるなら同じ家に買われているか、模様が似てるから親子かきょうだい猫なのかもしれないね」
「いーなー。2ひきねこ」
「…………」

ブルーベルの目がキラキラだ。
次の科白は予想出来る。

「ブルーベルもかいたい!」
「うん…言うと思ったよ」
「にゅ…、あっちも2ひき」

あっち?と正一が目をやると、道路の反対側では犬の散歩。
確かに、黒い犬と茶色い犬。ミニチュアダックスフントだろうか。

「ながいいぬ。かわいいわ」

……長い犬。

「えっと…、普通、足が短い犬って言わない?」
「おおきいほうを、ゆうせんすべきよ」

ブルーベルは、自信を持って言った。
「あれは、ながいいぬよ」
「……うん…まあ…そうだね……」

正一は、そういうことにした。こんなことでブルーベルが癇癪を起こすのは避けたい。
そして、次の科白も予測出来る。

「わんこもほしい!」
「うん…言うと思ったんだ」

世話は誰がするんだろうか。
子どもは、動物を欲しがっても世話をしないことも多い。特定の世話しかしない、というケースも多い。
ありがちなのが、「餌はやりたがるが糞尿の始末はしない」というパターンだろうか。動物の世話で子どもが一番わくわくするのは、餌やりなのに決まっている。

「案外…お人好しであれこれ放っておけないタイプのザクロあたりが世話をするんだろうか……」(ボソ)
「入江、いまなにかいった?」
「ううん、何でもないよ」

正一は、取りあえず言った。
「どんな動物でもそうだけど、餌やりは楽しいかもしれないけど、食べたら出すからね」

……だす。

ブルーベルは沈黙した。
正一はハッキリ言わなかったが、それは人間で言うならトイレに行く、ということだ。

「白蘭サンや桔梗みたいに美麗で華麗な人でもトイレに行くから」
「けっきょく、はっきりいうんじゃないのよーーー!!!」

ブルーベルはぐらぐらしたが、それが動物の現実というものだ。

「それから、犬はすごく構ってもらいたがるよ。犬種や年齢にも寄るけど、もう遊んで遊んで遊んでーーー!っていう感じだよ。しょっちゅう一緒に遊んでやらなきゃいけないし…完全室内飼いの犬もいるんだけど、基本的には散歩が大好きなんだ。さっきの犬はどうか分からないけど、出来れば毎日散歩させてあげるのがいいと思う」
「たいへんなんだね…」
「出来る限り、だけどね。犬は人間によく懐く動物だから、たくさん構ってあげるのが大切だよ」

一緒に手を繋いで歩きながら、正一は続けた。
「猫はね、…これも差が大きいかな。子猫のうちは、遊びたがるよ。でも、犬とは違うんだよね。猫は、自分が構って欲しいときには構って欲しいけど、そうじゃない気分の時には放って置いて欲しくて、気分を悪くする」
「なにそのじぶんかってーーー!」
「でも、人間もそういうタイプって結構多いんじゃない?犬を飼うのは、犬をしょっちゅう構いたい人に向いているよ。猫は、基本的に放って置いてあげられる人に向いてるんだ。猫は猫なりにね、人間に構って欲しかったり甘えたくなったりもするから、そういう時には自分から人間に寄ってくるんだよ。それから、遊んで欲しい気分じゃなくても、猫は何となく飼い主の傍にいたり、飼い主が外出から帰ってくると、車のエンジン音やドアの鍵の音を聞いて、玄関で待っていたりもするんだよ。そういうさり気なさが、猫かな」

う〜ん…とブルーベルは考えた。
犬といっぱい遊ぶのは楽しそうだ。でも、毎日いっぱい構ってあげられるだろうか。
猫は、柔らかい毛でもふもふしてみたい。でも、構い過ぎちゃダメ…

動物を飼うのは簡単な事ではない、ということは分かった。
でも、飼ってみたい。わんこもにゃんこもどっちも捨てがたい。

「白蘭サンに相談してみようか?」
「うん!」

そして、いつもは正一はブルーベルを送っていったら屋敷の前でさよならするのだが、その日は珍しく屋敷の中に入ってみた。

「いーねーいーねー、だったらどっちも飼っちゃおうよ♪」

言うと思ったんだよ…と正一は遠い目になった。
「でもね、たくさんお世話するのは大変だから、どっちも今日見かけたのと同じ、2匹ずつまでね」

正一は、意外に思った。白蘭なら、無責任にもこの屋敷を犬屋敷か猫屋敷にしてしまいそうだと思ったので、今日はそれをストップする為に屋敷の中まで付いてきたのだが。

「猫はいいけどー。犬の場合、大型犬だと散歩するブルーベルが引き摺られちゃうよね。ザクロ君が適任だよね」
「白蘭様…言うと思いました」

ザクロ遠い目。このままだと、糞尿の始末もナチュラルに回ってきそうだ。

「ねーねー、びゃくらん。はやくペットショップいきたいー!」
「あ、行くのはペットショップじゃないよ」

白蘭はにっこりと笑った。
「里親を必要としている子が、いっぱい待ってるところに行こうよ」

これも、正一は意外に思った。
里親の訪れを、切実に必要としている犬猫がいる場所は……


[ 96/102 ]

[*prev] [next#]
[図書室63]
[しおりを挟む]


×
「#甘々」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -