01

「入江!今日の“きんく”よ!!」

いつも通り、ほぼ意味がなくなった待ち合わせ時間…の20分前に迎えに行った正一に、ブルーベルはビシィと小さな指を突き付けたのだった。

「言ってはいけないこと…の禁句、かい?」
「そうよっ!」

ブルーベルは叫んだ。

「“どっちでもにあうんじゃないかな”“どれでもかわいいよ”のふたつと、それににたようなことばぜんぶよ!!」
「…………」

何のことだろうか、と正一が黙っていると、ザクロが言った。

「惚気は外でやれや」
「ザクロうるさあぁぁい!!!」

アハハ、と白蘭が笑った。
「いつも、ブルーベルが身に着けるものは、僕が桔梗が選んでいるからね、たまには正チャンにお願いしちゃおうかな〜って思ったんだよ♪」
「ちなみに、誰の発案ですか」
「僕だよ♪」
「じゃあ、安心して異議を唱えます。“無理です”。これは禁句ではないはずです。その理由ですが」

正一は、理系らしく論理的に話を〆にした。
「明らかに僕にはセンスが無いからです」

「うわあああん!!入江のばかーーー!!!」

白蘭に言い返しただけ、のはずだったのに、ブルーベルが泣いて逃走しようとしたので正一は慌てた。しかし、そこは桔梗ががっしとブルーベルをつかまえた。

「少しは乙女心に配慮しなさい、入江正一。ブルーベルは、ハッキリ言ってワガママです。いくら白蘭様の発案でも、気に入らなければ拒否しますよ。そんな事にも気が付かないとは、貴方は本当にブルーベルの恋人ですか」
「ききょーっ!ブルーベルワガママだけど、ほんとうすぎることをいうのも“きんく”なのよっ!!」
「えっと…。ブルーベル…ごめん」
「しらないっ!もうおかいものいかないっ!デートもしてあげないんだからっ!」

ブルーベルは、桔梗に抱き上げられながら、じたばた暴れた。

「入江のばか!!ばかばかばかーーーっ!!入江なんてキライーーーっ!!!」
「…………」

正一は、再び黙って立っていたが、言った。

「……ごめんね、ブルーベル。今日は帰るy<ゴン!!>

痛い…!と正一が頭を抱えていると、拳を入れたザクロが呆れた口調で言った。

「懲りねえなお前。電波が嫌いとか何とか、心にもねえ誤作動をする度に、コイツをほっぽって帰っちまって、いちいちこじれてんじゃねえか。お前の天才なオツムは、こっち方面は学習しないのかよ」
「にゅーーーっ!ブルーベルはでんぱじゃなぁいっ!!」
「あ、それから正チャン」

にっこーと白蘭が笑った。

「別にね、乙女でヒラヒラでレースな服を選んで欲しいんじゃないんだよ。今日はアクセサリーだよ。髪留めとか、ネックレスとか、ブローチとか、ちっちゃいものだよ。ブルーベルにも好みがあるからね、全部を正チャンが選ぶんじゃなくて、一緒にどれが似合うかなって考えてあげればオッケーなの♪」
「白蘭サン…。そういう事は、先に言って下さい…」

正一は、ブルーベルに話しかけた。
「正直、アクセサリーでも僕には自信が無いんだけど、ブルーベルがある程度絞り込んでくれれば、どれが似合うかっていうか……どれを僕が好きだと思うか、って思うことは言えると思うんだ。君が僕を許してくれるのなら、これから一緒に選ばせてくれないかな」
「…………」

桔梗の腕の中の、じたばたが止まった。

「桔梗、もうにげないから、おろしてよ」
「どうぞ。入江正一のお姫様」
「どーして、いちいち入江のなまえをだすのーーー!!!」
「出さないと入江正一が誤解するからです。ただのお姫様だと、真面目な彼は、貴女を私や白蘭サンのお姫様でもあるのだろうかと、真面目に悩みます」
「桔梗!君もいちいち恥ずかしい事を言わないでくれないかな!!」

実は、桔梗はそう外してもいない…と、正一は頬の赤みがどうも決まらないと思った。

「じゃあ…行こうか、ブルーベル」
「にゅっ!ゆるしてあげるんだから、かんしゃしてよねっ!!」
「うん。感謝するよ」
「にゅにゅーーーっ!どうして笑ってるの入江ーーー!!」
「…どうしてかな」
「なにその、おとなのよゆう!なかんじーーー!!チビのくせにーーー!!!」
「そのうち伸びるよ。178cm」
「ムカツクーーー!!」


ふたりが行ってしまった後、桔梗がハハンと笑った。
「ザクロ。貴方にしては、絶妙な縁結びでしたね」
「ああ?電波が泣いてうぜーんだよ」
「斜めな言い方ですが、結局貴方は乙女心を解する男なのですね」
「電波のどの辺が乙女だっつーの。ガキじゃねえか」
「甘いな〜。ましまろよりも甘いよザクロクン。幼稚園でも初恋できちゃうのが女の子なんだよ♪」
「そういうもんスか?」

ザクロは、カチリと煙草に火を付けた。
「電波はともかく、入江は何であんなオコサマがいーんですかね?」
「アハハッ、それはね」

白蘭は笑った。

「ブルーベルと正チャンが、ふたりでわかってればいーんだよ♪」


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