02

「しんぱいしなくていいわ、入江」

ブルーベルは、自分のポシェットをぽんぽんとした。

「おかねは、びゃくらんからいっぱいもらってきたから、入江は貢がなくていいのよ」
「貢ぐ、って漢字で言えるんだね……」

しかし、困る…と正一は思った。
雑貨屋にあるような、安価で気軽なアクセサリーを想定していたのだが、白蘭なら小粒のダイヤモンドを買えそうなお金を持たせている可能性もある。

僕は、どうしたらいいんだろうか……

「入江、どうして、とおいめになってるの?」
「いや…、大丈夫だよ、多分…」

年齢的に、ダイヤモンドは先送りにしたい。


(ずっと一緒にいたくても)

(僕はまだ、君を約束で縛り付けたくはないんだよ)


不思議そうに、ブルーベルが正一を見上げた。
「入江、いま、なにかいった?」
「……可愛いアクセサリーが見つかるといいね」

正一は、ひょっとして宝石店にでも連れて行かれるのだろうかと思ったが、案外常識的にデパート内のアクセサリー売り場へ。
奥に行けば高価なものも有るのだろうが、カジュアルなものや、手頃な価格でかわいらしいものもたくさん置いてある。

「にゅ〜…」

ブルーベルは、じーっと見ている。

じ〜〜っと見ている。

じ〜〜〜っと、見ている…

正一は、隣で黙っていた。そう言えば、女性の買い物は長くかかるとか聞いたことがあるので、それは小さな女の子でもそうなのだろうか?と思いながら立っていた。

「入江…」
「どれか気に入ったの?」
「どうしてっ!なにもいわないのよっ!!」
「えっと…今僕、意見を求められていたのかい?」
「あたりまえでしょっ!なんのためについてきたのよぅっ!!」

…そうなのか。と正一は困ったが、取りあえず提案してみた。

「お金があるのなら、1種類じゃなくてもいいんだろう?まずは髪飾りを選ぶとか、ブローチを選ぶとか、ネックレスを選ぶとか、種類ごとに探した方がいいんじゃないかな」
「にゅ…。じゃあ、ブルーベルは、あたらしいかみどめがほしいのよ」
「じゃあ、それから選ぼうか」
「うん」

ブルーベルは、じーっと見ている。

じ〜〜っと見ている。

じ〜〜〜っと、見ている…

「ちょっと入江ーーー!!なんでなにもいわないのよぅっ!!」
「え?僕、君がいくつかチョイスした中から、これが似合うよっていう役割だと思ってたんだけど」
「ちょっとは、はじめからじこしゅちょうしたっていいじゃないのーーー!!」

……そうなのか。
正一は、最終的に却下されるにしても、何かを選んだ方がいいのだろうと、ざっと目を通して手に取ってみた。

……ピンク色のリボンの形の飾りが付いた髪留め。

「これ、どうかな」
「にゅ!ぴんく?」

同じ形の、水色のものもあるのに。
「うん。そっちのほうが、いかにもいつもの君だけど、青い髪にピンク色のリボンも可愛いかなと思って」

……かわいい。

「わかったわっ!それにしてあげるわよっ!!」
「えっと…、無理することはないんだよ?」
「むりじゃないのっ!!入江がこれなら、これにするのっ!!」
「…………」

正一がくすりと笑って、ブルーベルは、にゅっと正一を見上げた。
「どうしてわらってるのっ!」
「可愛いと思ったんだよ」
「…ぴんくのかみどめ?」
「ブルーベルがだよ」
「…………」

ブルーベルは、ボンと真っ赤になって、「入江のくせにころしもんくーーー!!!」と叫びそうになって、ぐっと抑えた。ここは店内。

そして、もうひとつ、今度はブルーベルが気に入ったくまの髪留め。
「ブルーベアよ」

それから、正一が選んだイルカのネックレス。
レースの服に似合いそうな、ピンクのバラのブローチ。

「にゅ…ブルーベアいがいは、ぜんぶ入江のチョイスだわ」
「自分で選んでもいいんだよ?」
「これでいいの!」

ブルーベルは、見つめることが上手く出来なくて、何だか睨んじゃってるみたいと思いながら言った。

「入江が、にあうとおもってくれたものがいいの!!」
「そうかい?君が自分で選んでも、どれでもかわいいと思うけどな」
「入江のばかーーーっ!きょうは、“どれでもかわいいよ”は、きんく!っていったでしょーーーっ!!」
「あはは、ごめんね」

会計をするとき、正一はリボンの髪留めだけ袋に入れずに出してもらって、その場でブルーベルの髪に飾った。
「似合ってる。可愛いよ」
「…………」

やっぱり、ブルーベルは叫んだ。
「にゅにゅーーーっ!入江のくせにころしもんくーーー!!!」
「あはは、ごめんね。でもよく似合うよ」


[ 70/100 ]

[*prev] [next#]
[図書室62]
[しおりを挟む]


×
「#甘々」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -