02

「…私、は……」

ユニは、やっと口を開いた。

「知らなかった…のです。γが私と運命を共にしてくれたのは…γがやさしいひとだからだと、思っていたのです。本当は、私のお母さんを一番に想っているのに、それでも私のことを独りにしないと言ってくれたのは…」

ブルーベルは、つぶらな青い瞳を瞬いた。

「それ、にぶいわよユニ。やさしいだけで、うんめいをともにできないわ。ひとりにさせない、なんて、それは愛よ。ブルーベルは、こどもだけどかんじでいうわ。愛よ。だいじなことだから、2かいいってみたわ。γとブルーベルのきもちは、きっとにてるのよ。ブルーベルが入江をひとりにしないのとおなじで、γがユニをひとりにしなかったのも、γにとって、ユニが“ゆいいつのとくべつ”だからよ」

 だから、ユニがみんなのお姫様なのはしかたがないけど、ユニはγだけの女の子じゃなきゃダメよ。

 みんなにおなじえがおを、むけていちゃダメよ。
 γにだけあげるえがおがなきゃダメよ。

 γといっしょに、いきているだけでしあわせにならなきゃ、ダメよ。
 そうでなきゃ、γはきずつくのよ。
 ユニにおいていかれて、ひとりぼっちになっちゃうのよ。

 γにいくらおともだちやなかまがいても、きょうだいの太猿でも、野猿でも、ダメなのよ。
 ユニじゃなきゃダメって、だれよりもユニがわかってあげなきゃだめなのよ。

「…にゅ。ユニきいてる?」
「はい…」
「じぶんだけぎせいになればいいなんて、そんなのだれもよろこばないわ。ユニがユニをそまつにしたら、ユニをだいすきっておもってるひとは、なくのよ。ブルーベルのいうこと、わかった?」
「はい……」
「だったらいいわ」

ぴょん、とブルーベルは椅子から降りた。
じゃーね!と笑って手を振ってかけてゆく。
ユニは、そのまま椅子に座っていた。


(おいて行かれるγのきもちは、かんがえなかったの?)


考えてみたこともなかったのだと、ユニは俯いていた。




「…って、ユニにおしえてあげたわ」
「何余計なこと教えてんだよ!守れなかったって悔いることはしても、泣かねえってんだよ!!」

γは、何でこんな幼い小娘にマジレスしてるのかと、叫んだ直後に溜め息をつきたい気分になった。

「γ」
「…何だよ」
「オレと一生を共にしてくれ、で一発よ」
「何でいきなり漢字なんだよ!!一発とか、狙撃じゃねーんだよ!」
「なんでもいいわ。ユニもそうだけど、おとなって、しんぷるなことなのに、いろいろりゆうをつけて、めんどくさくしちゃうのね。ブルーベル、わかんないわ」
「…………」

ユニよりもかなり子どもっぽく、しかし年相応に幼稚と言っていい小娘なのに、どうも痛いことを言う。

「みらいでも、にじのだいりせんそうでもそうだったけど、ユニはやさしいのに、じぶんにはやさしくないし、じぶんのことは、かんたんになげだしちゃうのよ」
「…………」
「そんなのイヤだって、いかないでほしいって、γが超カッコ悪くだだをこねるくらいでちょうどいいのよ」
「何で、超カッコ悪いだけ漢字なんだよ!!」
「とにかく、γがキザっちくカッコ付けてるうちは、ユニはじぶんがいなくてもγはだいじょうぶだとか、おもっちゃうんだわ」
「…………」

気障とかカッコ付けとか、結構痛い。
だいたい、男は好いた女にはカッコ付けていたいのだ。

「ユニと入江は、にてるわ」
「どのへんだよ」
「みらいで、入江は、びゃくらんのやぼうをとめられるなら、よろこんでしぬ、っていったんだって。かんがえてたこと、ユニとおなじよ」
「…………」
「ブルーベルは、そういうのわかんないわ。ブルーベルはいきていたいし、しにたくないし、入江にもそうおもってほしいもの」

芝生の上に座って膝を抱えて、緩やかな風が、ブルーベルの髪をふわりと揺らす。

「だから、ブルーベルはおもいきりワガママになってやるわ。そばにいてって、そばにいさせてって、なんどでもいうわ。入江はひとりがすきなわけじゃないのに、それでもひとりになってしまいそうになるから、ブルーベルはいじでもひとりにしてあげないわ。それがダメなら…」
「…………」
「いっぱいないてやるわ。なみだは、おんなの、ぶきなのよ」
「お前、本当に子どもかァ!!」
「こどもよ。入江はそれでもいいっていってくれたもの」

ブルーベルは、芝生の上から立ち上がり、コットンレースのワンピースに付いた草を、ぱんぱんと払った。

「γ」
「…何だよ」
「お前がいないとオレは生きていけない、とか、ろまんちっくにカッコ悪く言っても、ユニはずぎゅーんされてくれるわ」
「いちいちハズカシーこと言うんじゃねえよ!!!」
「はずかしくたっていいでしょ」

ブルーベルはにこりとわらった。

「しあわせになれるのなら、なんだっていいのよ」


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