01

「ねえ。入江は、からかわれてないの?」
「何のことだい?」

思い出しても、ほっぺたが、熱くなる。
「……学園祭で、ブルーベルのこと、婚約者だって、いっちゃったでしょ…」

入江は、ブルーベルの頭を、優しくぽんぽんってしてくれた。
「僕のことなら、大丈夫だから心配しなくていいよ」

入江が優しいのは今更だけど、ブルーベルが今欲しい返事は、そうじゃないのよ。

「ブルーベルは、大丈夫かどうかをきいたんじゃないわ!小学生が恋人とか、婚約者とか、おかしいとかロリコンとか、からかわれてるかどうかってきいたのよ!」

入江は、少し困った顔をして笑った。
「少しは突っ込まれたし…まあ、ロリコンも言われたけど。適当に交わしておいたよ。まともに相手にしても、仕方がないからね」

ちょっとがっかりしたブルーベルは、じぶんかってなのよ。
だって、学園祭のときみたいに、はっきり婚約しているんだよって、言ってほしかったんだもの。

「僕はね、大切なことを他人にとやかく言われたくないし、軽い興味関心の相手にばらしたいとは思わないんだよ」

入江の言うことは、きっと正しいわ。
でも、ブルーベルは…

「ブルーベルは、大切なことだけど、学校でじまんしちゃってるわ。おとなのこいびとがいるって。それは、いけないことなの?」

入江は、少し驚いた顔をして、ちょっと照れくさそうに笑った。

「いけなくないよ。それで悪口を言われたりからかわれたりして、君が傷付くことが無いのなら」
「傷つかないわ。ブルーベルはつよいのよ。おまえの彼氏ロリコンっていわれたけど、あんたたちみたいに幼稚なリアル消防なんか、全員きょうみないわって、アウト・オブ・眼中よっていいかえしてやったわ」
「そう…」

入江は、何だかふくざつなおかおで笑った。
「言われた男の子たちの何人かは、きっとハートブレイクしただろうね」
「どうして?」
「その男の子たちは、ブルーベルに興味があって、何人かは……ブルーベルのことが、好きだったんだよ」

ブルーベルは、りかいできなくて、むーってふきげんなおかおになったと思う。

「ありえないわ。だって、すきなひとには、やさしくするものよ」

入江は、そうだね…って、優しく笑った。
でも、そのときブルーベルは気付いたのよ。

ブルーベルだって、入江がだいすきなのに、すなおになれないことは、しょっちゅうなんだって。……あの男の子たち、本当はブルーベルがすき?

「僕は…ちょっと、羨ましいかな」
「なんのこと?」
「君のまわりにいる、クラスメイトだよ。その男の子たちだって、僕よりもずっと、君の傍にいる時間が長いから」
「時間なんて、かんけいないわ。だって…」

どうして、いちいち、死ぬ気の勇気がひつようなの?

「ブルーベルの王子様は、入江だけなんだからっ!」
「うん…。知っているよ。でもね、理屈じゃないんだろうね」
「どういうこと?」

入江は、にこりと笑った。

「やきもちだよ」
「…………」

さらっというから。
ブルーベルは返ってまっかになって、さけんじゃった。

「にゅーーーっ!入江のくせに、ころしもんくーーー!!!」
「…そうかな。今の僕、カッコ悪かったと思うんだけど」


入江。おとななのに、あんがいわかってないわ。

ひねくれてて、すなおになれないのは子どもの方で、まっすぐになれる勇気をもっているほうが、ずっとおとななのよ。




でも…入江の言うとおり


(りくつじゃ、ないのよ)








〜やきもち〜

 

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