01

広い公園のベンチに座ってお弁当。

「きょうも、ブルーベルががんばってつくったのよ!」
誇らしげに、胸を張るブルーベル。

「でもね…。ぜんぶ、まるくなっちゃった…」
一転して、どよ〜んとなってしまった。

「どうしたんだい?今まで、ブルーベルのお弁当は全部美味しかったし、君が作ってくれたのなら、僕は全部食べるよ」

正一が言うと、ブルーベルは少しほっぺたを赤くして、でもやはりどよ〜んとなった。

「入江はやさしいから…。コンクリートのバターじょうゆやきでも、ぜんぶたべてくれるとおもうわ……」
「コンクリートにバター醤油って、よく思い付いたね」

一体何なんだ、と正一が思っていると、アルミホイルで包まれた、丸いおにぎり。
「……普通だと思うけど?」
「だって、桔梗は、さんかくにつくってたもん!」

ああ、と正一も思い出した。
「これ、小学校の時、女子が揉めてた覚えがある」

……じょし。

「にゅにゅーっ入江!!ぜったいそのなかに、入江がすきなおんなのこっていたでしょーーー!!!」
「さあ…どうかな」
「ブルーベルのほうがきいてるのよっ!」

くすりと、正一が笑った。
「なに、わらってんのよ入江のくせにっ」
「今日、僕はブルーベルとデートに来たんだよ。その時のクラスメイトじゃなくて」
「…………」
「これからも、君だけにするよ」

ブルーベルは、ボンと真っ赤になった。
そして、照れ隠しに話題を戻した。

「…じょしは、なにをもめてたのよ」
「おにぎりが丸いのか三角なのか、どっちが正しいのかっていうことだよ」
「にゅ?まるいひともいたの?」
「うん。コンビニだと三角が殆どだし、全国的にも三角が多いらしいんだけど、おにぎりは地域性が強いんだ。だから、丸いのが当たり前の所もあるんだし、海苔の巻き方も地域によって違うみたいだよ」
「そうなんだ」

ブルーベルは、安心して嬉しそうに笑った。

「じゃあ入江はどれたべる?」

正一は思った。
コンクリートのバター醤油焼き以外がいい…

「ブルーベルはね、ちいさいから2こ。入江はおとなだから3こ。しゃけ2つ、おかか1つ、うめぼし1つ、ツナマヨ1つ」

……何となく、ツナマヨはブルーベルが食べたいんじゃないか。しゃけは2つあるから、分けて食べるつもりなんじゃないか。梅干しはいかにも日本人向きだ。…とすると、ここは無難に、

「僕は、しゃけと、おかかと、梅干しがいいかな」
「じゃー、ブルーベルはしゃけとツナマヨね!」

ブルーベルがにっこーと笑ったので、多分これで当たりなのだろうと正一は思った。

「ブルーベルもねー、ツナマヨすきなんだ〜。びゃくらんもだよ。桔梗は“じゃどう”だっていうけど」

……もう、これだけ市民権を得ているんだから、和的とは程遠いけれども、邪道と言うほどのものだろうか…

「あとねー、ブルーベルもびゃくらんも、うめぼしはたべられないんだよー」
「…………」

自分が食べられないのに、どうして作るんだよ……

でも、とにかくブルーベルが嬉しそうににっこにこなのだから、いいことにしよう。
「美味しいよ」

正一が笑いかけると、ブルーベルはもっと嬉しそうに笑った。
「ブルーベルはね、ほめてもらうの、だいすき」
「…そう」

正一は、うまく言えなかった。
褒めた…というのとも、少し違うような気がしたのだ。

「えぇと…。美味しいんだけど、それだけじゃないんだよ」
「どういういみ?」
「僕にとってはね…ブルーベルが一所懸命作ってきてくれて、今こうしてふたりで一緒にいられるって、その全部が嬉しくて、大切だって思えるんだよ」
「…………」

ブルーベルは、やっぱりおとな(高校生は大人だと思うの!)は、むずかしいことをいう…と思ったけれども、これだけは分かった。

「入江のくせに、ころしもんくーーー!!!」
「あはは、ごめんね」

さらりと。そして柔らかく笑う。
だから、正一はおとなだと、ブルーベルは思うのだ。

「でも…。ブルーベルはやっぱり、ほめられるのがすきよ」
「そうだね。褒められると嬉しいからね。また頑張ろうって思えるし、褒めてくれたひとを好きになれるし」

ブルーベルは、やっぱりほっぺた赤くなる…!と思いながら叫んだ。

「にゅっ、そうねっ!びゃくらんとかっ!!」
「…そう」

正一が苦笑したので、ブルーベルは後悔した。
嘘をついた訳ではないけれども、正一に褒めて貰うことには、白蘭とは違って、どきどきする特別な気持ちなのに。


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