01

白のようで白じゃない。
それは、やはり銀と言いたくなる。風をはらみ、光を透かすその色は。

「びゃくらんのこと?」
「うん」

正一は、懐かしそうにくすりと笑った。
「肌も、透き通るみたいに白いしね、本人も豪語する美形だしね。初めて出会ったときには、あんまり綺麗すぎて人外かと思ったよ」
「じんがい!!!」

ブルーベルは叫んだ。
「それちょっと、本当すぎてひどくない!?」
「君は君で、結構容赦無いよね……。まあ、白蘭サンは仲良くなってみたら、案外普通のゲーマーかと思ったんだけど、背中に羽根があるとか言い出すし。実際に見せてくれちゃうし」

ふしぎだよね、と正一は言った。

「でもね、僕はどうして羽根があるんだとかパニックにはなったけれども、白蘭サンが何者なのか、……っていうことは、考えなかったんだよ」

そう言えば、自分もそうだと、ブルーベルはそう思った。
だって、自分の髪も青いのだから。桔梗はこだわりのハハンの染め(?)らしいけれども、ブルーベルの髪は生まれつきだ。

そして、<未来>では事故という不運で奪われたけれども、水泳に関しては並の人間を超える天才だとも言われていた。
でも、超人だからと言って、自分が誰かかなんて考えたこともない。青い髪も、自分が綺麗だと思っていたから、ヘンだと言われても「ヘンに見えるあんたの目がヘンよ」で終わった。

「終わらないときには、げしっと足を踏んでやったわ。ぶっ飛ばしたこともあるわ。ブルーベルはつよいのよ」
「そ…なんだ。僕は、生まれてこの方、強かった試しは一度もないよ……」

正一は、遠い目になって。
でも、ふとブルーベルの髪に触れて、その長い髪を指で掬い取った。

「……確かに、変だという方がおかしいよ。綺麗だよ」
「…………」

ブルーベルは、真っ赤になった。
「あたりまえでしょ!ブルーベルは美少女なのよ!ぜんぶキレイなのよ!!」

……と、自信満々に言う事は出来なかった。
どうしてか、頬が火照ってしまって。

「にゅにゅーーーっ!入江のくせに、ころしもんくーーー!!!」
「え…そうかい?僕は、本当にそう思ったんだけど」

そうやって、天然に言ってのけるあたりが、入江はころしもんく、なのよ!!!

「白蘭サンに似ていて…そうじゃないよね」

染めている青ではない。
でも、白蘭の銀に、海の青が宿るような…

「透き通る…水の青だね」

その水の青が、緩やかに波打ちながら、腰まで届く幻想的な髪の毛。

正一が、その手でブルーベルの髪を梳きながら微笑む。

「僕は、すきだよ」

髪は青いのに、ほっぺたは、きっと今、まっかっか。
水の青、すき、欲しかった言葉を全部もらってしまって。

「そ…そうねっ!髪が!!」
「綺麗だっていったこと?それは、ブルーベルの全部だよ」
「〜〜〜〜〜っ」

ブルーベルは、にゅにゅーーーっ!と叫んだ。
「入江のばかーーーっ!ころしもんく!!それに、“ぜんぶ”って何っ?」

知って欲しいけど、どれもこれも見透かされちゃうのは、はずかしいのよ。

正一は、にこりと笑った。
「今ここにいてくれる、君の全部。知らないところは、これから時間をかけて知っていきたいし、僕は、新しく出会ってゆく君のことを、全部好きになりたいし…。きっと好きになれるって、思うんだよ」

ころしもんく…だけど。曖昧だと、ふあんになるわ。

「きっと…?」
「ああ、正しくないね。きっとじゃなくて、絶対」
「…………」

もう、これ以上赤くなるところなんて、どこにもないわ!!


[ 79/100 ]

[*prev] [next#]
[図書室60]
[しおりを挟む]


×
「#切ない」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -