02

「ねえユニ!ちょっと、こっちきてっ!」

ブルーベルは、庭にユニを引っ張り出した。

「ズバリ、きくわっ!!」

ブルーベルは、小さな指を、ビシィ!とユニに突き付けた。
「ユニは、γがいっしょうのこいなのっ!?」
「…………」

ユニは、真っ赤になった。
「え…?あの…っ」

ブルーベルは、指差したまま言った。

「“すき”なのはわかるわ。みてれば、いっぱつでわかるわ。…でも」

ブルーベルは、続けた。
「ブルーベルはこどもよ。だから、おとなのいうことは、よくわからないこともあるわ。…でも“いっしょうのこい”は、いっこだけじゃないのかもしれないんだって。ふたつとか、みっつとか、あるのかもしれない。さすがに4ついじょうあったら、ブルーベルもせっそうなし、っておもうけど」
「私は、3つ以上なら既にダメだと思いますが…」
「でも、“ほんき”だったら、いっしょうわすれられないわ。わすれることができるなら、それは“ほんきのこい”じゃないのよ」
「…………」
「きっと、わすれないまま、つぎのひとをすきになるんだわ。でも、それは“うそ”なんかじゃ、ないのよ。わすれないまま、つぎの“ほんきのこい”をするんだわ。だって、みらいは、ずっとさきにつづいているんだもの。おもいでに、たちどまっていることなんか、どのにんげんもできないもの」
「…………」

ブルーベルは、正一の事を思い出した。

(君が傍にいてくれるから、幸せだよ)

「ブルーベルだって、かんがえたくないわ。もし、入江ににどとあえなくなってしまったら、ブルーベルはなくわ。ないてもないても、じかんはながれて、いつかおもいでになってしまうなんて、イヤだわ。それでも、じかんはながれて、入江はブルーベルがいっしょうわすれられないひとになるのよ。そのまんま…ブルーベルは、つぎにであっただれかを、ほんきですきになってしまうのかも、しれない」

話しているうちに、ブルーベルは涙ぐんできた。
「ぎゃくに、ブルーベルがさきにしんでしまったら、入江もかなしいっておもってくれるわ。入江はおとなだから、なかないかもしれない。それでも、入江はブルーベルを、いっしょうわすれない、“いっしょうのこい”だっておもいつづけてくれるのよ。それなのに…入江は、べつのおんなのひとと、けっこんしてしまうのかも、しれない」

ああ。こんなにも、じかんは、ざんこくだわ。
それでも、みらいには、いつかしあわせがおとずれるのよ。

「ユニは、ユニママをわすれられないγを、ゆるせないの?もし、ゆるせないんだったら、ユニはγを“いっしょうのこい”にはできないのとおなじなのよ。もし、γがユニがゆるすゆうきをもてるのなら、いっしょにいきていきていけるわ」
「…………」
「ゆるしてあげたいのなら、ユニからγをおいかけてあげなきゃダメよ。だって、γはきっと、ゆるしてもらえないっておもってるままだもの」

(入江、どこ?)

(あやまりたいのに)

(どこ?どこにいるの、入江…!)

「おんなのこは、おとこのひとに、さきにいってもらいたいわ。でも、おんなのこからおいかけなきゃダメなことも、あるのよ」

ブルーベルのつぶらな瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちた。



「…ブルーベル」

ユニが、いい匂いのする綺麗なハンカチを、ブルーベルにくれた。

「ありがとう…」

ユニは、笑った。

「これから…行って来ます」

どこにとは、ブルーベルは言わなかった。



「ブルーベル、そんなところにいたのかい?捜したよ」

正一は、振り返ったブルーベルの目元が赤いのを見て驚いた。
「泣いていたの?」
「…うわあああん!!」

ブルーベルは、正一の元へ走って、そのまま飛び込んだ。

「入江、どこにもいっちゃやだ…!!」
「行かないよ。どうしたんだい?」
「だって…。入江、いったもん。けっこんするのなら…」


(入江は…どんなおんなのひとと、けっこんしたいの?)

(僕の傍にいて、幸せだって笑ってくれる人がいいかな)

(……僕を選んで、僕に付いて来てくれる人。それが幸せだって言ってくれる人)

(でも、いくら僕のことを想っていてくれても、僕に付いて行くことは出来ないっていうのなら、僕はそのひとを泣かせてまで攫うことは出来ないから、…)

(もう…二度と、会わないと思う)

(ついていくって、どこへ…?)

(……とおいところ、だよ)


「入江…とおくにいっちゃうって、いった…!ブルーベルには、入江が“いっしょうのこい”なのに、とおくにいっちゃうって……!!」



「……そんなに泣くのなら、付いてきて」

正一は、優しく微笑んだ。

「返事は、今すぐじゃなくていいよ。君が大人になってからでもいい」

ブルーベルは、そっと抱き締められた。…あたたかい。

「僕も、君が、一生の恋だよ」



だから、これからも一緒に、生きていきたい。





〜Fin.〜
 

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