01

ちょっと、気になるから。
君に、訊いてみたい。

「…ブルーベル」
「なぁに?」
「ブルーベルは、しょっちゅう桔梗と一緒に寝てるの?」
「にゅ!」

ブルーベルは、赤くなって叫んだ。
「た、たまにだもん!ねむれないときだけだもんっ!!」
「そう」

正一は、理解した。ブルーベルの中では
添い寝=こどもっぽいこと
という図式があって、うっかり口にして正一に知られてしまったことが恥ずかしいのだ。

「にゅにゅーーーっ!どーしてわらうのよっ」
「……安心した、のかな」

あんしん?とブルーベルは小首を傾げた。
「どーして、入江があんしん?」
「……どうしてかな」
「にゅーーーっ!しつもんしてるのはブルーベルよ!!入江って、いつもそうっ!」
「あはは、ごめんね」

正一がこういう言い方をするときには、それ以上は答えてくれない…ことも知っているブルーベルは、むかぷんと言った。

「入江のばか」
「ばかでもいいよ」
「にゅーーーっ!ひらきなおるのっ?」
「ばかでも、僕はブルーベルが好きだよ」
「…………………………………」

ブルーベルは、かーっと真っ赤になって、小さな拳でぽかぽかと正一を叩いた。
「ばかばかばかーーーっ!ころしもんくー!入江のくせにーっ!!」
「ごめんね」
「もっとばかーーー!!“すき”をあやまっちゃいけないんだからねっ!!」
「じゃあ、僕はばかのまんまでいいよ」

くすり、と正一は笑う。
おとなはズルイ、とブルーベルはほっぺたが赤いまま思った。

「桔梗だけかい?」
「にゅ…びゃくらんのこともあるわ」

ブルーベルは、小さな声で打ち明けた。
「桔梗は、えほんをよんでくれるわ。びゃくらんとは、ゲームとおはなしでもりあがるわ。どっちでも、ブルーベルはいつのまにかねてるのよ」
「……そう。仲がいいんだね」
「だ…だって、かぞくみたいなかんじだもんっ!」
「うん。楽しそうだね」

穏やかな正一の微笑に、ふとブルーベルは思った。
訊いて、いいのだろうか。

「あのね…。入江がいいたくないのなら、こたえなくてもいいわ」
「何だい?」
「入江は…、だれと、いっしょにすんでいるの?」

柔らかな風が、ブルーベルの長い髪をふわりと揺らした。

「……僕はね、ブルーベルに会いに来られれば、それでいいよ」
「うん…」

えがおになっていいのか、ダメなのか、わからなかった。

「ブルーベル。白蘭サンや桔梗には、キスってする?」
「…………………………………」

ブルーベルは、ずがーんとショックを受けた。
脳内に浮かんだのは、正一がほっぺたにくれるキス。

「す…すすす、するけど、それがどうかしたっ!?」
「そんなに、慌てることなの?僕は日本人だからそういう習慣はないけど、ヨーロッパのひとは家族でするのかなあって」

…かぞくのキス。

と分かって、ブルーベルはどうにか心臓の落ち着きを取り戻した。

「するよ。あたりまえよ。おたがいのほっぺに、ちゅっちゅって」
「白蘭と真6弔花全員?」
「んっと…。びゃくらんと桔梗だけ」

……やっぱり、このふたりに絞られるのか。

「入江、なにかいった?」
「どうして、ほかのひとにはしないんだい?」

ん〜、とブルーベルは考えた。
「びゃくらんと桔梗は、おにいちゃんみたいなかんじだもん。でも、ザクロはなぁにしてんだでんぱ、とかいいそうだしムカツクーーー!!!」

……まあ、喧嘩するほど仲がいいような気がするけど。

「入江、なにかいった?」
「ほかのメンバーは?」
「デイジーはすきだけど、ノリがわるいわ。トリカブトはおめんだから、びみょうだわ」
「…成程?」

きっと、ブルーベルはみんな大好きで、きっと皆に愛されているのだろうと、正一は微笑んだ。

「ブルーベル」
「にゅ。なに?」
「僕とブルーベルは、キスするのはいつも僕の方からだね」

ブルーベルは、オレンジジュースを正一に向かって噴いた。

「ああ、大丈夫だよ。眼鏡は拭けばいいし、服は洗濯をすればいいし」
「そういうもんだいじゃなぁーっい!!」

ブルーベルは、また真っ赤になって叫んだ。

「ブルーベルは、うまれてはじめて、“たんさんいんりょう”にちゃれんじしてたのよっ!?シュワシュワが、けっこうピリピリなのよ?おとなのあじなのよっ!」

そう言えば、僕も初コーラの時に、ちょっとしか飲めなかったんだっけ…と正一は思い出した。

「今、噴いちゃったから、口の中からっぽなんじゃない?」
う、とブルーベルは詰まった。

「だ、だからどうしたのよぅっ!」
「何となく、白蘭サンと桔梗がうらやましいなあと思って」
「…………」

ブルーベルは、くらくらした。
ブルーベルの方から、い…いいい入江に、きす!!

「入江は、ブルーベルのかぞくじゃないもんっ!」
「……そう」

正一は柔らかい微笑で応えたけれども、ブルーベルははっとした。

今…言ってはいけないことを、言ってしまった…?

何の証拠もないけれども、ブルーベルは感じていたのだ。
正一は、いつも独りなのではないか…と。


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