01

「はあ?無色透明ってやつだろ」
「ちがうもんっ!」
「湖やら海やらは、空の色が映ってんだろ」
「ちがうもんっ!くもってたって、うみはあおいもんっ!」
「そりゃあ、イタリアはそうだってだけだろ。北の方の海なんざ、灰色だの鉛色だぜ。イタリアのは、青く見える何かがまざってんだろうよ」
「そんなうみ、ブルーベルはみたことないもん!!みずが、あお!なのっ!!みずのいろがあお!!だからうみはあおなのっ!」
「じゃーお前、今からコップに水汲んで来いや。絵の具もインクも混ざってない奴な」

う。とブルーベルは詰まった。
……コップの水に、色はない。

「ちがうもんちがうもんちがうもんっ!!!あめぞくせいの、ブルーベルがいうんだから、みずはぜったいあお!!なのーーーっ!!!」

ブルーベルが癇癪を起こしたので、ザクロは面倒くさそうに肩をすくめた。

「どっちだっていーじゃあねーの電波」
「よくなぁいっ!!それからブルーベルでんぱじゃないっ!はいいろのうみの、ざくろがでんぱーーー!!!」
「はいはい…じゃー青でいいぜ」
「にゅにゅーーーっ!なにその、なげやりなかんじムカツクーーーっ!!!」

ブルーベルが小さな足で床を踏み鳴らして叫んでいると、桔梗が現れた。

「どうしたのですか」
「うわあああん!!ザクロのでんぱがいじめるーーー!!」
「ザクロ。何があったか知りませんが、子ども相手にむきになるのはよくありませんよ」
「別にむきになってねーよバーロー。寧ろオレは譲ってやったんだぜ。青でいいってよ」

…あお?と桔梗は首を傾げた。

「何のことですか」
「桔梗っ!」

ブルーベルは桔梗にぽふっと飛び付いて見上げた。
「桔梗、みずのいろはなにいろ?」
「水ですか?」

桔梗は応えた。

「透明で、色はないのでは?」
「…………」

ザクロが、口の中であーあと言った。

「うわあああん!!桔梗もブルーベルをいじめるーーー!!」

ブルーベルが泣いて走って行ってしまって、桔梗はザクロに尋ねた。
「私は今、何かまずいことを言いましたか?」
「まずいもまずいってのバーロー。電波には青って言ってやらなきゃダメなのよ」
「…そう言えば、ブルーベルは青が好きですね。ヘブンリー・ブルーをプレゼントした入江正一は、なかなかロマンチックなセンスです」
「あー、入江かよ」

ザクロが席を立った。

「水の色の話は、ロマンチストの天才科学者さんに任せておこうぜ」







〜水の青〜

 

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