02
桔梗に買って貰った水着は、以下。
1.ブルーのチェックのワンピース。スカートはAライン。
2.ホワイトの胸の下までのハーフトップ。要するにへそ出し。ショーツはビキニタイプなのだが、パレオが付いていて、恥ずかしければ、ひらっとスカート風にする事も出来る。
3.ズバリ、ピンクのビキニ。でも、ショーツはいかにもビキニです!!というのではなく、可愛らしいチュチュ風味。
ブルーベルとしては、日頃の自分のイメージでは、1>2>3、だと思う。
特に、1ならあまり恥ずかしがらずに着られそうだ。
「逆に、露出の程度で言うと、1<2<3なのですね」
「うわあああん!!ユニ、せいじゅんなおかおで、ズバリなこといわないぃぃぃ!!」
ブルーベルは真っ赤になって頭を抱えた。
「やっぱり、ユニはよゆう!だわ!へそだしになれてるくらい、よゆうだわ!!」
「余裕というか、γはあまり、そういうことにこだわりがなさそうな気がしますし…」
ユニは、困ったように笑った。
「未来なら、少しは意識してもらえたのかもしれませんけど…今の私は、子どもですから……」
「…………」
ブルーベルも、黙ってしまった。
何かというと、自分も「こどもあつかい!」と叫んで抗議をするけれども、実際に自分はこどもなのだ。
ドキドキしてもらうなんて、無理…きっと。
「でも…」と、ブルーベルはぽつんと呟いた。
「γは、びゃくらんにヤキモチやくくらい、ユニに“べたぼれ”っていうやつなんだわ。マントしてなくても、ロングブーツはいたじょおうさましてなくても、γはユニのなまあしに萌えてくれるのよ…。だきつけば、きっとはなぢをながして、かんどうしてくれるわ……」
「萌える、は漢字で書けるのですね…」
ブルーベルは、しょぼんと言った。
「入江は、ブルーベルがどれをきてても、“とてもかわいいね。きみににあっているよ”あたりの、よゆうのおとなのえがおですますのよ……はなぢださないわ……」
「鼻血を出させたいのですか?」
ん〜、とユニは考えた。
「ブルーベル。少しでもその可能性に賭けて、一番露出しているチュチュのビキニで、かわゆくえいっと入江さんに抱き付けばいいと思います」
「うわあああん!!ユニ、ぜったいみかけをうらぎってる!!せいじゅんじゃないーーー!γはなぢでけっていーーー!!!」
でも。自分で決められないなら、誰かの意見を取り入れるしかない。
「わかったわ…!ブルーベル、しぬきでビキニよ!!!」
「そこで、入江さんに、かわゆくえいっと抱き付いて下さい」
「にゅーーーっ!それはムリーーー!!!」
……そして。
いざ、海水浴当日。
「し…!しぬきできたのに、ブルーベルはじょうぶつできないきがするわ…!!」
「成仏してしまったら、入江さんに会えませんよ?」
……それはイヤ。
水着がピンクなので、せめてビーチサンダルは、青いお花の飾りが付いたものにしてみた。
サンダルまではピンクで統一出来なかった乙女心。
ブルーベルは、正一をドキドキさせるなんて、こどもにはできないことは、諦める事にした。
だって、これから正一に逢うということだけで、自分の胸がドキドキ。それだけで、精一杯。
「会う、じゃなくて、逢う、なのですね」
「ユニは、こどもなのに、かんじができすぎるとおもうのよ!?」
女性用脱衣所から、ブルーベルとユニは、ビーチサンダルで砂をさくさくと踏みながら歩いた。
そして、男性陣の居場所はすぐ分かった。
「びゃくらんと桔梗って、なんであんなにめだつの…いっぱつでわかるわ…」
「目立つために生きているようなひとだからではないでしょうか?」
振り向いて、白蘭がひらりと手を振る。
「やあ!ふたりともとってもキュートだね♪」
「……と、ユニ様だけに言って差し上げればいいのでは?γ」←桔
「オレは、言わなくても思ってるからいーんだよ!!」←γ・純
正一も振り返ったので、ブルーベルはどきんとした。
そして、正一はいつもとは違って、すぐにはコメントせずにブルーベルを見た。
「な…ななな、なに?入江」
正一は、やっと思い出して言った。
「…バレリーナみたいな感じだね」
「あ、正チャンそれで当たり♪だよ。ひらひらのチュチュがかわいーでしょ?」
正一は、にこりと笑った。
「とても可愛いね。君に似合っているよ。サンダルは、青い花にしたんだね」
ブルーベルは、かーっと真っ赤になった。
「目の付け所が成長しましたね、入江正一。バレリーナに例えた上に、サンダルまで見逃さないとは」
「桔梗…。君も、いちいち恥ずかしい感じに言わないでくれないかな…」
…アレ?入江。ちょっとドキドキしてくれた、のかな…?
「にゅ…。これなら、しぬきで、えいっとしなくてもいいかもしれない…」
「…?ブルーベル、何か言ったかい?」
「な、ななな、なんでもなぁいっ!!」
本格的に、海水浴開始。
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