02

「にゅーっ!桔梗!おそいとおもわないっ!?ブルーベルは、30ふんまえにはしたくできてたのに!」
「遅くもないでしょう。誰かの家に訪問するのは、ピッタリかやや遅れてゆくのが礼儀ですから」
「……ピッタリはともかく、どーしておくれるのよぅ」

桔梗は、くすりと笑った。
「早く着いてしまうと、相手を急かすことになってしまうので、ピッタリより早く来る事はしないのですよ。誰もが、ブルーベルのように30分早く準備が整っているわけではないのですから。……女性のお化粧と買い物は長くかかるものなのですよ」
「…………」

むーん、とブルーベルは可愛らしい顔に不機嫌そうな表情を浮かべた。
「……30分はやくよういできてるのは、こども?おけしょういらないし」
「大人の女性でも、そわそわと待ち遠しくて、1時間早くスタンバイしてしまうひとはいるかもしれませんよ。初めてのデートなら」
「初めてじゃないもんーーー!!!」
「そうですね。お付き合いを初めて何年でしたでしょうか」

・・・・・・・・・・・・・・・。

ブルーベルは、ずがーんと衝撃を受けた。

「…ブルーベルと入江は、つきあっちゃってるの…?」
「この状態は、それ以外の、何だというのです?」
「ブルーベルって…入江のかのじょ…?」
「それ以外の、何だというのです?…ああ、入江正一の思考回路なら、彼女と言うよりも、恋人といった方がしっくりくるかも知れませんが」

…こいびとーーー!!!

「だっ、…だれが、だれのこいびと…」

桔梗は、ハハンと笑った。
「当然に、貴女が入江正一の恋人で、入江正一が貴女の恋人でしょう」
「…………………………………」

ブルーベルは、白目になりそうな衝撃に、ぐらぐらした。
そして、桔梗は一向に構わずに艶麗に微笑した。

「“唯一で特別”という心をお互いに交わし合って、お互いに好きでキスもしているのに、恋人ではないというのは、風紀乱れたことです」
「桔梗お前、何処の風紀委員だ?電波が気絶しそうじゃねーか」←ザクロ
「にゅーっ!ブルーベルは、でんぱじゃないーーーっ!!!」

口から魂を飛ばしかけていたブルーベルは、我に返って叫んだ。

「き…!キスしてるっていうか、入江にされてるんだもんっ!!」
「ほ〜…。入江、ヘタレメガネの割には、結構頑張ってるじゃないの」
「入江は、メガネだけどヘタレじゃないもん!もやしなだけだもん!!」
「フォローになってねーよ電波」
「…ああ、来たようですよ」

時間ピッタリ。

「こんにちは、入江正一。貴方のお姫様がおまちかねですよ」
「え…えっと桔梗。あまりからかわないでくれないかな…」
「どの辺からかっているのです?ブルーベルは貴方のお姫様ではないとでも?」

…う、と正一は詰まって頬に熱を感じた。
ちらと視線を動かせば、向こうでブルーベルも負けじと頬を染めてフリーズしているのが見える。

「……。僕の…でも、いいとブルーベルが思ってくれるなら、それで合っています」
「成程?」

桔梗はブルーベルを振り返った。

「という訳で、決定権は貴女にあるようですよ、ブルーベル。貴女は、入江正一のお姫様でいいのですか?」
「にゅにゅにゅにゅーーーっ!!な、なぁんで、ブルーベルにはなしがふられるのよっ!!」
「つまり、入江正一は、貴女がお姫様だということには異存ないのですよ。問題は、貴女が誰のお姫様かと言うことです。貴女がNo.と言えば、貴女自身はお姫様ですが入江正一のものではありません」

…いりえの、もの!!!

ぐらんとして、そして恥ずかしさのあまり、ブルーベルはきーっと癇癪を起こした。

「どーして!そんなのブルーベルに言わせるの桔梗のイジワル入江のヘタレーーー!!!」
「おいおい電波ちゃん。さっきお前、入江はヘタレじゃないもやしなだけだとか言ってなかったか?」

そんな事を言われていたのか……と、正一は遠い目になった。
が、お姫様にヘタレとモヤシとダブルで言われてしまったのでは、汚名を返上するしかない。

「じゃあ、決定権は君のままだけど、僕から言うよ。ブルーベル、僕のお姫様になってくれるかい?」

ブルーベルは、かーっと真っ赤になった。
まさか、ここで正一が直球で来るとは思わなかった。

「おい電波。お前の王子様が、死ぬ気でプロポーズだぞ」
「それ、まだプロポーズじゃないでしょーーーっ!!!」

……ほぼプロポーズで合ってるんだけど。と正一は思ったが、そう認識されていない以上は、外野のいないところでやり直したいと思った。

「論点はそこではありませんよ、ブルーベル。少なくとも、入江正一は貴女に彼のお姫様になって欲しいというプロポーズはしたのです。お返事をしてあげては?」

今度は、うっと詰まったのは、ブルーベル。
でも、ここでぐずぐずしていたら、正一に誤解されてしまう。
今日は、楽しみにしていたデートなのに、そんなのイヤ!だとブルーベルは思った。

「な…なに、いまさらなこといってんのっ!?ブルーベルは、入江のおひめさまにきまってるでしょっ!?そんなこともわかんないとか、バカじゃないの入江のくせにーーー!!!」
「ごめんね」
「にゅにゅーーーっ!なんでわらってるの!!」
「嬉しいからだよ」
「〜〜〜〜〜っ」

ブルーベルが、ぷしゅーと蒸気を噴きそうになって、桔梗とザクロは、つくづく面白い組み合わせだ…と正一とブルーベルを見比べた。


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