02

オジギソウの種も、ひみつの種も、どちらも正一からもらった大切な種。
大切に育ててあげたい。

「オジギソウもこっちの種もね、すっごく殻が硬くって、発芽率が悪いんだよ。ちょっと君たちホントに子孫を残す気あるの?っていうくらいにさ」
「にゅ…そうなんだ」
「でもね、それなりにやり方はあるよ。オジギソウの場合、60℃くらいのお湯をぶっかけてふやかせるとか」
「にゅにゅーーーっ!しょくぶつに、そんなわいるどなことしちゃっていいの!?」
「アハハハッ、多分大丈夫だけど、普通に水でふやかすくらいにしておこうか」

種が全部沈んでしまわないように、ティッシュに水を含ませて、一晩。

「びゃくら〜ん!たねがふとった!」
「ん、水を吸ったんだね。植えてみようか」

植木鉢を用意して、指でちょっとだけ土に穴を開けて、そこにぽとん。

「みんな、元気に育ってくれるといいな…」
「水を吸わせても、個体差があるんだよね。発芽しなかったり、しても弱っちい感じだったり。だから、数打ちゃ当たるって感じで植えてみて、発芽したらラッキー♪みたいな感覚ね。で、混み合って育つのはよくないから、元気そうな苗だけ残して、後は間引いちゃうの」
「…………」

…まびく、って、なに。

「邪魔なのを抜いちゃうってことなんだけど?」
「じゃまじゃないもん!よわっちいのでも、せっかくめをだしたのなら、ぬいちゃうのかわいそうだよ!!」

それが、「ただしいそだてかた」なのだとしても。
入江はきっと、「まびく」のはかなしいっておもってくれるひと。

「んー、マメ科の植物ってね、植え替えを嫌うんだよ。だったら無駄になるの承知で、ひとつの鉢にふたつくらい撒いてみるかい?」
「そっちの方がいい!」

ずらっと鉢を並べて土を入れて、種を蒔いて完了。
あとは、芽が出るのを待つだけ。

「次は、こっちの秘密の種だね」
「びゃくらん…その、てにもってるのって…」
「カッターだよ♪」

白蘭は、にっこーと笑った。
「こっちもオジギソウに負けず劣らず頑固でさ、でもちょっとは種が大きいでしょ?だからこうしちゃうの」
「にゅにゅーーーっ!ダメーーー!!!」

しかし、白蘭はアッサリと、三日月型の種の背中部分をカッターで切って傷を付けた。

「うわあああん!!たねがしんじゃうー!」
「大丈夫だよ。死なないワイルドな種だし、こうして出口を作ってあげた方が芽を出しやすいんだ。でも、これでも芽を出さないのなら、もともと芽を出す力がない未熟な種だっていうことで、それは誰の所為でもないんだよ」
「……そう…」

それでも、かなしい気持ちがして、ブルーベルは俯いた。

「うまく芽を出すことが難しい植物だから、種から育てるよりも、ポット苗になっているものを買って来て育てることの方が多いんじゃないかな。ひと株で100個以上花を咲かせる、多花性の植物だからね」
「…ひゃく!!!…って、すごい!!」
「ふふ、すごいだろう?。オジギソウは大きく育つまではデリケートだけど、こっちの種はいっぺん芽が出ればそれは逞しくて、見事でね。だからきっと、正チャンはブルーベルに驚いて欲しくて、すごく綺麗だねって笑って欲しかったんじゃないかな」
「…………」


(意地悪じゃないよ)

(ごめんね)


もう…ずっと、会ってない。
会いに、きてくれない…

ごめんねは、ブルーベルなんだよ。

会いたいよ、入江……


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