02

(つづき)


人魚姫は海の宮殿に帰っても王子の事が忘れられません。
そのことを、おばあさまに相談します。

「人間はいつかは死ななければならないが、肉体が滅びたあと、生き続ける魂をも持っている。そして魂は空にのぼって、輝く星になる。でも、人魚は300年もの長い寿命を持つけれども、命が尽きるとただの海の泡になってしまう」

人魚姫は、300年の長い寿命よりも、人間にあこがれ、王子に会いたいと思いました。
そしてついに、魔女のところへと行きます。

魔女は、いったん人間になったら二度と人魚にはもどれない。そして、王子がほかの女と結婚したら、夜明けと共にその次の朝、人魚姫の心臓はこなごなになり海の泡になり死んでしまう、と告げます。

どうしても人間になりたいのなら、代わりに美しい人魚姫の声を要求します。
しかも、尻尾がとれて手に入れた足は一歩ごとに鋭いナイフの上を歩いているような痛みが走るだろうと言います。
それでも人魚姫は魔女から薬をもらい、尻尾が二つに割れて、”足”を手に入れました。

その人魚姫を今度はあの王子が助けます。
王子は海岸で裸で倒れていたその不思議な女の子にいろいろと尋ねるのですが、人魚姫は口がきけず黙って深い青い瞳でみつめかえすことしか出来ません。

そして、人魚姫の思いとは裏腹に王子は彼女をそばにおき妹のように可愛がりますが、恋愛の相手としては見てくれません。

「これは嘘だって、びゃくらんは言うのっ!」
「なにが嘘?」
「確かに!イケメン王子は人魚姫を傍に置くけど、こんなこと、王様やお妃様が許すと思う!?有り得ないっ!しかも、裸で倒れていた女の子を連れ帰るだなんて、えろえろだわ!人魚姫は、ほうとう王子の“ちょうき”にされちゃったのよ!……って、入江、ほうとうとか、ちょうき、ってわかる?びゃくらんはアハハって、桔梗はハハンって、ザクロはバーローって、みんな教えてくれないのっ!ひどいと思わない!?」

正一は、また遠い目になった。
どうして、僕は何かと損な役割が回ってきてしまう苦労性なんだろうか……

そして、ここで正一が「君は知らない方がいいことばだよ。白蘭サンのおふざけだから」とフォローしても、「にゅにゅーーーっ!みんな、ブルーベルばっかりなかまはずれにするんだーーーっ!」……とか、ややこしいことになりかねない。

「ほうとう…は“放蕩”で、好き勝手に振る舞う…特に、遊び人でお酒や女の人にだらしない感じ…かな。ちょうき…は、寵姫で、特別にお気に入りの侍女…っていう感じ……」

めかけ=妾とか、僕は教えられない……

ブルーベルは、えええーーー!?と叫んだ。
「つまり、チャラい感じに、お妃様にする気はないのに、はべらせちゃってたのね!氏ねばいいのにーーー!!!」

……侍る、という言葉は知っていたんだね……

「さいってい!この王子ってね、人魚姫に向かって、“いつか僕を助けてくれた娘が本命だ。でも、彼女が見つからなければ、君と結婚するよ”とか、超思わせぶりなことを言ってんのよ!?ゆーるーせーなーいーーー!!これって、ふたまた!ふたまたじゃないのっ!!しかも、人魚姫は本命じゃなくて保険なのよっ!?」
「そうだね……」

あるとき、王子が放蕩息子でダメじゃんと思った王様が、王子を結婚させることにしました。

すると!なんと!相手は人魚姫が救ったあとに、王子を砂浜で助けた少女だったのです!!

人魚姫は、自分が救ったのだと言いたくても、話すことが出来ないばかりか、(多分)字の読み書きも出来ないので、伝えられないと絶望します。そんな人魚姫の心も知らず、王子は隣国の王女との結婚にウハウハ乗り気。
保険にかけた人魚姫に、「喜んでくれるだろう?」などと、氏ねと思うせりふを言います。

その結婚式のあと、もう自分は死んでしまうのだと覚悟した姫の前に、姉の人魚姫たちがあらわれます。

姉たちは、朝日の最初の光が射してくる前に、王子の胸にナイフをつきさせば人魚姫はまたもとの人魚に戻れるから、王子を殺せといいます。

姉たちは、美しい髪の毛がバッサリ短くなっていました。
あの強欲魔女が、今度は姉たちに髪の毛をよこせと言ったからです。

「入江!ゆるせないと思わない!?ブルーベルの髪だって、ながくてキレイでしょ?髪はね!!女の命なのよっ!!」
「そうなんだ…」

時がせまり、いよいよ夜明けが迫ってくるなか、人魚姫は寝室へと向かいますが、どうしても愛する王子を殺すことなんて出来ません。
人魚姫は、ナイフを海の中に放り投げます。

そして海に身を投げ、その体は海の泡となってとけていきました。


〜おしまい〜


ブルーベルは、きーっと癇癪を起こして、髪の毛を掻きむしりたくなったけれども、正一からもらった花冠があるので出来なかった。

「……って、あんまりひどすぎるお話だとおもわないっ!?バッドエンドの極みよ!死エンドよっ!?やっぱり、王子氏ねばいいのにーーー!!!」
「ほかの国ではどうかは知らないけど…日本では、そう伝えられていることが多いみたいだね。でも、本当は続きがあるんだよ」
「にゅ?」


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