11-コーディネート

 
「つまり、彼氏とデートする服をチョイスして欲しいと」
「か…かかか彼氏、だなんてっ…!!」

友人たちは思った。前回、思えばそれは正一の誕生日にメールが来て、その時正一は、「…か、かかか彼氏じゃ……!!」と、彼氏じゃないと誤魔化そうとしたのだ。それに比べれば、

「ふーん。一歩進展したと」
「わああああ!!!あ、あんまり訊かないでくれよっ!!」

……どうやら、確実に進展したらしい。(←友人一同)

どうしてこういう事態になっているかというと、正一はスカートと私服用のコートが欲しい、と思ったのだが、今までユニセックスなものや無難なものしか選んでこなかった正一は、自力では何を選んでいいのか、そもそも何処の店に行けばいいのか、何も、全く、分からなかったのだ。
それで、友人たちにコーディネーターになって貰おうと頼んだ次第。

「予算は?」
「親から2万円…。僕が貯めてたお小遣いも足せばどうにか3万は行くと思う……」

3万に行くようなら、次に発売されるブラペパのCDは、しばらくお預けで我慢しようと思う。

「どうせならさ、中途半端なことしないで、しっかりイメチェンしたいよね」
「し、しっかり!?って、どんな???」
「ズバリ、乙女な感じに」
「それ、僕似合わないからーーー!!」
「とか、思い込んでるから、いつも似たようなの買っちゃうんじゃん。女なら、覚悟を決めなよ死ぬ気で!!」
「彼氏の為に!!」
「かっ、彼氏の、為って……」

(此処へのくちづけは、……貴女が、16歳のお誕生日を迎えた日に)

「わああああ!!!」

叫んで頭を抱えた正一に、友人は肩をすくめた。
「正一って、勉強以外は本当パニクるよね……」

そして、ずるずるずると並盛ショッピングセンターへGO。

「……なにそれ?」
友人のひとりが、スマホを弄りながら答えた。
「今日の買い物リストだってば」

正一は、リストを見せて貰って、茫然とした。

1.コート(明るいパステルカラー。いっそピンク)
2.スカート(秋冬物1枚&秋冬春と3シーズン使えるもの1枚)
3.靴
4.その他

「ええぇ!?ピンク?何でピンク!!」
「だから、イメチェンじゃん。徹底的に」
「徹底的にって何だよ!!…靴、って…?」
「カワイイ系のスカートに、今の黒いスニーカー履く訳?」

正一は、遠い目になった。確かに、それは合わないことくらい、オシャレ初心者の自分にも分かる…

「で、正一。ミニスカ穿く勇気は?生足は?」
友人たちは、
((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル になってしまっている正一を見て、これはダメだと脳内削除した。

「乙女に決めるのなら、いっそふわっとしたひざ丈スカートに絞っちゃえば?」
「生足がダメなら、タイツかレギンスだしぃ」
「レギンスだと、スクールソックスじゃイマイチじゃない?」

リストの4.その他に、タイツ・レギンス・靴下が加わった。

……タイツと靴下は分かるけど、レギンスってナンデスカ。(←混乱&ショートしそうな正一の脳内)

「まずは、コートから行こうよ。これで、残りの予算が決まるじゃない?」
「アタシはズバリ、コレを推す」

正一は、ズガァンと雷光に打たれた。
……ホントに、ピンクのコートきたぁぁぁ!!!

「あ、いーじゃん。どピンクじゃないし、スモーキーな感じだからカワイイけど落ちつ……」
「ダメだ…。正一ってば、もう魂抜けかかってるよ……」

だが。こんな事でめげていたら、入江正一改造計画(?)は不可能。死ぬ気で当初の計画に、着回しの利くセーターを1枚加えて約2万9千円で買い物を終えた。

「ふー。私らってば神…!」
「ちょっ…あの!どーして、買ったものを着て帰らなきゃいけないんだよ!!」
「ちょっとはデートの前に慣れておきなよ」

う、と正一は詰まり、確かにふんわりスカートも、ショートブーツも履き慣れない…と思いながら、残りの荷物を持って歩きだした。

「あ…これ」
友人のひとりが、着替えの騒動で首元から覗いたらしいチェーンに気が付いた。

「ひょっとして、ペンダント?」
うひゃあぁ、と正一が狼狽えている間に、ちゃらりとそれは友人たちの目に晒された。

「ガラス…じゃないっぽくない?」
「お花?四葉のクローバー??かわいー」
「……でも、高そうな」
「ネックレスって言う辺りからして、正一が自分で買わなさそうな」

当然に、友人たちから質問責めに合って、正一はごもごも言った。

「誕生日…プレゼント。僕、宝石はよく分からないけど、ペリドット…だったと思う」
「ええええ!?それって、中学生男子のプレゼントじゃないよ!」
「てゆーか、男子高校生でも有り得ないよコレ!!」
「彼氏年上!?大学生??」
「あああああ!!もーーー!!!」

正一は、真っ赤な顔をして叫んだ。

「と、とにかく、僕よりずっと大人っ!!」
「つまり、彼氏なのは否定しないと」
「…………………………………」

「ダメだわ。正一また魂抜けてるよ……」



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