01

何でも手に入る。
そんなヤツに贈るプレゼントを考えるのって、本当厄介だ。

つまり、他人に言わせりゃ金の亡者レベルの僕は当然に金持ちだけれども、

「あ〜、オレって現金持ち歩かないんだよね。全部カードでいーじゃん。だって王子だもん」

……とか、芸能人よりも白い歯をキラ〜ンとさせて笑うベルも、どういう収入源が有るのか知らないけど、ゴールドカードでガンガン浪費してもノープロブレムな程度にお金持ち、なんだろう。
欲しいと思うものなんて、すぐに手に入れてしまうから、大抵のものは既にベルの持ち物になってしまっている、…んだろう。

だから、かなり不本意だけど、僕はベル本人に訊いてみるしかなかった。

不本意なのに、決まってるじゃないか。
いくら、ケチの権化の僕でも、自分の誕生日にプレゼントを貰っておいて、ベルの誕生日に何も返さないのは何となく決まりが悪い……という状況に追い込まれてしまったからだ。

僕は、誕生日プレゼントなんて要らなかったのに。
それも、アンティークドールの衣装ですか的な、レースとリボンが惜しみなく使われちゃってるふわふわヒラヒラなドレスとか…!!

「な、何コレ……?」
「何って、お姫様なドレスに決まってるじゃん?そんだけレースとリボン使いまくっても上品可愛いデザインとか、やっぱ王子天才だよな〜」
「自分で自分を褒めないぃぃぃ!!この自己満足っ!!」
「ん、そう。オレが満足したいんだよ」

ベルが、長い前髪の向こうから、にこりと笑ったから、僕はどきんとした。

「オレが贈った服で、マーモンがもっと可愛くなってくれたら、オレが嬉しいじゃん?だから、オレはそれでいーんだよ」

……流血狂のくせに、優しい目をして笑わないでよ。紛らわしい。

「何も紛らわしくないだろ?だって、マーモンはオレのこと好きじゃん」
「何その、自信満々な感じの言い間違い!?僕とベルの位置が逆でしょーーーっ!!」
「うししししっ、マーモン分かってんじゃん?そうだよ。オレがマーモンのこと好きなんだよ。Ti amo(愛してる)でもいーけど?」
「…………………………………」

……口から、魂が抜けそうになった。

それにそれにそれにっ!!
この僕が、たかが16歳のコドモに振り回されるだなんて、どこまでも不本意!

呪いさえ受けなければ、僕の方がずっと年上のオトナの女、だったはずなのに!!

……なんて、無意味。
僕はその日、もう何回目かも分からなくなった<1歳の誕生日>を迎えたばかりの、同じ時間を延々と繰り返すだけの、呪われた惨めな赤ん坊だったんだから。

おまけに、虹の代理戦争で呪いが解けても、元の姿をとりもどせたのは、なりそこないのラル・ミルチだけで、僕も含めて他のアルコバレーノは今でも赤ん坊の姿のままなんだから。

ヴェルデの仮説によると、僕たちは「成長しない」という呪いが解けただけで、元の姿を取り戻すには、1から人生をやり直さなければならない。
例えば、僕が今のベルと同じ16歳の姿になるのには、あと15年くらいの時間がかかってしまう。

……なのに、バカじゃないの?

(マーモン。オレのお姫様)

僕が、失われた10代半ばの元の姿を取り戻す頃には、ベルは30男じゃないの。

「オレ、バカじゃないけど?だって王子だもん。あと、別にいーじゃん。30代とか、モロ男盛りじゃん。その頃のマーモンって、ピチピチガールなお姫様じゃん。ノープロブレムだろ」
「ピチピチとか、レヴィみたいな変な萌え方しないでくれるっ!?あと、いつからそこに居たのーーー!!それから、謎の電波みたいに僕の思考を読まないぃぃぃ!!」
「うしししし、萌えじゃないから安心しろよ。愛だから」
「…………………………………」

とか、サラッと言うなーーー!!!

「サラッと言いたいじゃん。だって、王子がお姫様のこと愛してるとか、当たり前だろ」
「誰が、誰のお姫様だよっ!!いーかげんにしてくれる!?」
「うしししし〜。そういう言い方する程度に、マーモンはもう知ってんじゃん?オレのお姫様は、マーモンだけなんだってさあ」
「…………………………………」

僕、墓穴……!!!(ぐらん)

「それでさ、当たり前だから、サラッとしょっちゅう言わなきゃダメなんだよ」
「……意味、分かんないんだけど?」
「当たり前の事って、当たり前すぎてさ、ちゃんと口に出して言わないと、空気みたいに忘れちゃうだろ?だから、オレはサラッとしょっちゅう何度でも、マーモン好き、愛してる、って言いたいんだよ」

……ばかじゃ、ないの。

中身はともかく、外見はしっかり容赦無く、赤ん坊の女に恋をする男が、何処にいるって言うの。

「此処に居るけど?」
「だからぁぁぁ!!僕、何も言ってないんだけど!?謎電波を受信しないーーー!!!」
「でもさぁ、お姫様。ソレちょっと違うんだよな〜」
「……何が違うのさ」
「オレはさ、赤ん坊が好きなんじゃなくて、マーモンが好きなんだよ。何歳のマーモンでも、オレは愛してるよ」

……嵐属性の癖に。
何を、そよ風みたいに笑ってるの。

「これって、かなり愛だろ?」
「僕に聞くなーーーっ!!!」

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