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※ 元ネタは、コミックス42巻・標的406「呪いの行方」です。虹の代理戦争終了後。
綱吉が並盛中央病院を訪れたのは、負傷したディーノとバジルのお見舞い、のつもりだった。
「えぇと…。203号室だから……」
きょろきょろと病室の入口の番号をみながら歩いていると、何だかふらりとした足取りの、例えていうならば銀髪の貞子みたいなのとバッタリ出くわしてしまった。
「わっ!?髪サラサラお化けーーーっ!!」
「誰がお化けだああ!!オレが生きてること聞いてねーのかぁ!!」
……はい?と、綱吉は銀のサラサラをじっと見た。
「よく見たら、スクアーロ???」
「よく見なくてもオレだろーがあ。このヴァリアークウォリティなサラ髪が、オレ以外にいるかよ」
綱吉は、二重の意味でホッとして、連想的にひとつの意味でトクンと心臓が鳴った。
ホッとした理由ひとつ目は、イェーガーに胸を貫かれたスクアーロが、瞬時にマーモンの幻覚で心臓を補われて命が助かっていたこと。
ふたつ目は、銀髪の貞子じゃなかったこと。
そして、ちょっと頬が火照る感じに心臓が落ち着きを無くしてしまったのは……
(スクアーロがまだ入院中なら、ひょっとして、まだ一緒に……)
「うしししし、スクアーロ、いっけないな〜♪」
「あ゛あ゛!?何のことだあ、ベル」
いつの間にそこに居たのか、こっちもサラサラだが金色の短髪のベルが、頭の上にマーモンを載っけたまま、
(・∀・)ニヤニヤ
と笑っていた。
「沢田もさあ、誰彼構わず、もじもじとかわゆくしてっと、スクアーロがとばっちりでかっ消されちゃうよ?」
「お…オレ、別に可愛くないよ!?ダメツナだし!!」
……あ゛〜、成程?と、そっち方面は結構大雑把なスクアーロでも、やっと察しが付いた。
そして、真っ赤になってかわゆく狼狽えている綱吉の襟首をむんずと引っ掴んで、お土産にする事にした。
ずるずるずる。
「な、何?スクアーロ。ベル。お、オレってば、何か悪いことした!?」
「別に、悪かねえ。お前、うちのボスさんの見舞いに来たんだろーがあ。さっさと来い」
「…え!?そ、そういう訳じゃ」
「いーからいーから、照れなくてもさあ」
(・∀・)ニヤニヤ とベルに言われて、ずるずるとスクアーロに引きずられながら、どうして自分はヴァリアーの面々に普通に好きバレしているんだろうか!?と、綱吉は口から魂が抜けそうになった。
それに、本当にオレは、ディーノさんとバジル君のお見舞いに来ただけなんだけど!?
でも……スクアーロ発見→きっとザンザスも居るよね…?(もじもじ)
という乙女な思考回路で、心臓トクンになっちゃったのは事実。
「あの…スクアーロ。ゼェゼェ息切らしてるけど、大丈夫……?」
「仕方が無えだろお。これはボスさんの命令で、売店まで買い物で50往復したからだあ」
……No.2って、パシリのことですか。(←綱吉の素朴な感想)
「えっと…、何だか大変そうだから、51回目はオレが行ってもいいよ?」
オレも、ちょっとくらい、ザンザスの為に何かしてあげたいし……と、綱吉が乙女な思考回路で、もじもじとそう言った、時だった。
ぐるん、とスクアーロが綱吉を振り返った。
「んなことしたら、今日がオレの命日になるじゃねえかあぁぁ!!!」
「はいいぃぃぃ!!すみません!!!」綱吉は、反射的にフォント5サイズの文字でごめんなさいしながら、小首を傾げた。
……どうしてダメなのかな。オレが買って来たものじゃ、ザンザスは受け取ってくれないのかな……ザンザスって、オレの顔見るたんびに「かっ消す」しか言ってくれないし……
「あ〜、沢田。ソレって、オレは違うと思うけどー?うしししし〜」
「うわあぁぁん!ベルー!!(・∀・)ニヤニヤ しながら、謎の電波みたいにオレの考え読まないでくれる!?」
でも、何がどう違うのだろうか??
綱吉は、スクアーロにずるずると引きずられながら、どうやらザンザスの病室に到着した。
「う゛お゛ぉい!!ボスさんよお!買い物ついでにお土産持って来てやったぜえ!!」
「お、お土産って何??ひょっとして、オレ!?何で???」
漸くスクアーロから首根っこを解放された綱吉が、恐る恐る病室を覗いてみると、
……何だか、色々突き刺さっている、ホラーな極悪顔がそこにあった。
綱吉の、絹を割くが如き乙女な悲鳴が病院中に響き渡り、ホラーな極悪顔=レヴィの後頭部に、音速で白い皿がかっ飛んで、レヴィはどぉんと倒れ伏した。
「五月蠅え」
「す、すみません!!…ザンザス」
綱吉は、もじもじとかわゆくその名を呼び、その次に、自分の足元にぶっ倒れている男に視線を落とした。
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[図書室43]
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