01

全部、ゲームにしてしまえば面白くなるのに。
そう、僕は思っていた。

生まれてこのかた人間やってるのに、違和感ありまくり。
右を見ても左を見ても、人も社会も、僕には景色に見えるだけ。

なんか、この世の中はしっくりこないんだ……
まるで、白昼夢を見ているようで。

ねえ、ここ…この世界、気持ち悪くない?
楽しいって笑っても、感動して胸が震えても、僕はそれをすぐに見失ってしまうんだ。

僕のこの手には、何も残らない。
全てが蜃気楼のように儚いリアリティ。

<僕の現実>は、何処にあるの?
<現実の僕>は、何処にいるの?

今見えている景色は、アメリカの大学。
入学するのは簡単だけど、卒業するのは難しいから、どっかの平和の国の大学生みたいに「とりあえず大学」なんて甘っちょろいことは誰も考えちゃいない。

社会人になってからわざわざ来る人間も居るくらいだから、皆明確な目的意識を持って、……そう、僕は知らない<充実した>生活を送っている。

ねえ、どうしてそんなに、生き生きと笑っていられるの?
どうしてそんなに、心が千切れそうな悲しみに慟哭することが出来るの?

……僕には解らない。解らないよ。

誰か、教えてよ。……誰か、僕をこの地上に繋ぎ止めて。

ああ、僕は、人間は嫌いじゃないんだ。
だって人間は、時折僕の心の触れては、何だかくすぐったい想いにさせてくれたり、あたたかな温もりをプレゼントしたりしてくれるから。

でも、僕は<この世界>は、キライ。
……ううん、きっと、順序が逆。
<この世界>の方が、僕を嫌っているんだよ。

だって、この世界は、僕をその中から爪弾きにするから。
まるで、僕が間違ってこの世界に生まれてきてしまった異分子だとでもいうように、全てのリアリティを僕から取り上げる。

お前なんか幸福にしてやるものか、……って、言葉もなく僕という存在そのものを拒否してる。そんな気がするんだ。

僕が、色々不思議な力を持っているから?
天使でもないのに、背中に白い翼があるから?
……本当は、僕が人間ですらないバケモノだから?

映画館から出たら、それは銀幕の中のことだったのだと、隔てられてしまうように。
綺麗な風景だと思っても、車窓のそれのように硝子越しに通り過ぎて、決して僕の手には触れられないように。

この世界は、僕の現実なんかじゃない。そう思い知らされるだけの毎日。

つまらないよ。……寂しいよ。

並行世界に飛んでみて知った。
何処か別の所に、僕が生きる本当の世界があるんじゃないかって、僕は密かに夢見ていたのに。

そんなものは何兆もの世界を巡ったって存在しないんだって、僕は知ってしまった。
だって、どの世界にいる僕も、この僕と同じ事を考えていたんだから。

(お前なんか幸福にしてやるものか)

……いいよ?そのつもりなら。
ゲームをしようよ。僕は、負けないから。

僕が勝って、今度こそ心から笑ってやるんだから。

こんな世界、僕がぶっ壊してしまえばいいんだよ。
その代わりに、僕の力で僕の為の新しい世界を創っちゃえばいいんだ。
なかなか面白そうな、gr8なゲームだと思わない?

でも、それにはパートナーが必要。
何しろ、僕の様々な<力>を目覚めさせてくれたのは……彼、なんだから。

別の並行世界で、2度も僕と君は、出会い頭にぶつかった。
まだ、小柄な中学生だった、可愛らしい君と。

「いてててて……。あ、あの、大丈夫ですか?」

ああ、やっと出会えた……!
ひょっとしたら僕は、今まで生きてきて、一番感動したのかも知れないよ?

「成長したね、正チャン?君が13歳の時には、僕が君に、大丈夫かい?って聞いたのにね」

18歳に成長した君は、何やら慌てて走っていて、やっぱり出会い頭にどーんと僕にぶつかって。
僕は普通に立ったままでいたのに、もやしっ子の君だけが、荷物をぶちまけてひっくり返ったのに。

どー考えても、痛かったとか、怪我をした可能性があるとしたら君の方だと思うんだけど、日本人にはレアな綺麗なグリーン・アイズは、眼鏡越しに僕を見上げて、自分よりも僕の心配をしてくれたんだ。

「……僕は一向に平気だけど、正チャンこそ大丈夫?見事にぶっ倒れたけど」
「え…、日本語?しょ、しょうちゃん???」
「アハハハ、入江正一クン、でしょ?だから、正チャン♪……はい、学生証」
「す、すみません!」

散乱した荷物を拾ってあげたら、正チャンはわたわたと慌ててあやまった。

「本当、日本人代表だね正チャン?すみませんじゃなくて、アリガトウの方が、僕は嬉しいなあ?」
「あ、…はい。失礼しました。……ありがとう、ございます」
「そんなにかしこまらなくていいよ?だってもう、僕たち、友達じゃない?」
「え……?」

だって、どの並行世界でも、出会えば必ず、君は僕を好きになってくれるんだから。
そして、僕も君を好きになっちゃうんだよ。

「僕は、白蘭。もう、こうして知り合えたんだから、次に会えたら必ず挨拶するでしょ?だから正チャンは、僕の大切なお友達。……でいいよね?」

澄んだグリーン・アイズが、あどけなく、はにかんで笑ってくれた。
「……はい。嬉しいです、白蘭サン」

やっと、巡り逢えた。やっと捕まえた、僕の運命のパートナー。
……そして君が、大空のマーレリングに次ぐ、僕のゲームのラッキーアイテム。






〜GAME〜


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