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月1回の風紀委員会会議。
……とは言っても、大概は、一方的に副委員長・草壁哲矢から今月の活動の報告、反省点、そして有能なNo.2らしく今後の注意点及び提案が述べられる。そして、

「おいテメーら。来月の予定を今から言う。死ぬ気で全部メモれ」

副委員長じゃなくて、裏では副長と呼ばれ、しかし実質番長格(委員長はお嬢様なので不良にはカウントされない)の草壁は、敬語は委員長・雲雀恭弥にしか使わない法則。

予定表くらい、ザラ紙でもいいから印刷してくれればありがたいんですが、と、かつてひとりの風紀委員から提案が成されたのだが、その1秒後には草壁のリーチの長い脚による中段回し蹴りで、宙を舞っていた。
背の高い奴って、結局足が長い法則。

「アホかテメーら。どこの公立中学校でも部活の最中だってのに体育館の照明を半分にケチるほどビンボーなんだっつーの。ザラ紙1枚でも貴重品と思え」

……その割には、我らが委員長にしてアイドルなお嬢様・雲雀恭弥様は、毎日応接室で、高級なコーヒーと最高級の紅茶を飲んでいらっしゃるような気がするんですけど。その予算はどこから出ているんですか。
とか、誰も聞こうとは思わない。誰だって、命は惜しい。

そして、書く暇くらい与えてくれぇぇぇ!な容赦の無い速度で草壁が来月の予定を読み上げる。
勉強などろくにしたことがない不良集団・風紀委員会。シャープペンで書くよりもケータイメールの方がよっぽど速かったりするので、もう書くことを放棄してケータイに打ち込んでいる。

いつもは草壁に任せきり。委員長だから一応出席するけど、群れているつもりはない雲雀が、珍しく口を開いた。
「何その打ち込みの速さ?僕の部下って、リーゼントと長ランコスの、実は女子高生だったのかい?」
「キモチワルイことを言わないで下さい、委員長。どんなぶすの女子高生でも、うちのムサイ部下どもよりは、1万倍美しくて可憐だと思います」

<どがしゃああああ!!>

雲雀のトンファーで、草壁が、風紀委員達が着席している机と椅子(と、ついでに部下)をなぎ倒しまくってぶっ飛ばされた。
そして、鈍器を両手に持って仁王立ちでも、並盛一清純可憐な美少女・我らがアイドル雲雀恭弥が、わなわなと小鳥の如き声と、何故そこだけ豊かなのか謎のFカップ(並中男子一同推定)な細身のからだを震わせた。

「僕以外の女に向かって、美しいとか可憐とか……!許し難い、草壁哲矢。しねばい(ry」
「ご…誤解です!美しいのは勿論のこと、最大限に麗しい、オレの委員長……!!」

誰が、誰の委員長だ。我らが雲雀恭弥はアイドルだぞ。アイドルなんだから抜け駆け禁止だろ!!
……とか、全員の風紀委員が思ったが、全員黙っていた。例えトンファーでぶっ飛ばされても、「雲雀恭弥の次に強い」から、草壁がNo.2で副委員長なのだ。
まだ中学生、誰も棺桶に自ら足を突っ込みたくはない。

トンファーでぶん殴られたくらいじゃ壊れない、頑丈な草壁(頑丈じゃないとNo.2は務まらない)は、颯爽と雲雀に歩み寄ると、精悍な顔に男前な微笑を浮かべた。

「ご安心下さい、委員長。オレ的には、クレオパトラと楊貴妃と小野小町の70億倍、委員長がお美しく並び立つことのない美女の頂点ですよ」

世界三大美女を持ち出してきたよこのひと!!それに、70億とか何だ。世界の人口か?(注1)あと、アイドルを口説くなよ。(←風紀委員一同の感想)

雲雀は、トンファー両手でも清純可憐な美少女な感じに、ポッと頬を赤らめて、ぷぃとそっぽを向いた。
「そ…そんな当たり前なこと言われたって、僕はちっとも、て、照れたりなんかしてないんだからね!」

アイドル、当たり前とか言い切ったーーー!でも、絶対照れちゃってるよ!!ツンデレだよ!
あの、お嬢様でアイドルな雲雀恭弥に、ポッとかわゆく照れて貰えるとか、副長しねば(ry

「ああ、最後に、僕から素晴らしいお知らせがあるんだ」

雲雀が、100万ドルの笑顔を風紀委員達に向けた。
あまりの愛らしさに、ぐはーと吐血するもの多数。鼻血は全員。

「副委員長、救急車呼んでくれない?」
「いらんでしょう。委員長が御存知ないだけで、コイツらにはよくあることですので」

……よくあることなのか?まあいい。雲雀は本題に入った。

「本日、平成24年、5月31日木曜日に、10万人目の風紀委員が入会予定だ。この日を記念して、並盛中学校は、来年からこの日を祝日扱いの休日にしたいと思う。ああ、今年は間に合わなかったから、明日の6/1が代休だから」

学校休みーーー!超嬉しい!!
でも、学校が休みだと、アイドル・雲雀の清純可憐を拝めないんだよ…!もう、両手を合わせて拝みたい感じなのに!!

にしても、10万人って何だ。並中どころか、並盛町の人口を軽く超えている件について。

「ああ、君たちが知らないだけで、並中以外にも、風紀委員はたくさん居るんだよ?」

そこまで、権力拡大していたのか。お嬢様でお姫様なだけじゃすまずに女王様な雲雀恭弥。どんだけ君臨すれば気が済むんだ!?
……ってゆーか、10万人も群れていいのか??委員長って、群れが大嫌いじゃなかったっけ???

「群れ…?ふん。群れても例外的に許されるものも、この世には存在するのさ。君たちが、本来なら僕に瞬殺される運命の、むさくるしい男どもであっても、僕に忠誠を誓う部下で居るという条件の下に、群れても僕のトンファーの餌食にはならないように」

……結構餌食になってます。風紀委員全員、救急車に乗ったことがあります委員長。

「ちなみに、君たちが知らない大多数の風紀委員は、美しく可憐な乙女だ。乙女ならば、例外的に群れても許されるのに決まっているだろう?さながらゴージャスな花束のように」

工エエェェ(´д`)ェェエエ工工!?

美少女委員長・雲雀の衝撃発言に、風紀委員達は色めき立った。
美しき雲雀恭弥以外は、全員むさくるしい男所帯だと思っていたのに、10万人の乙女が居たとは!!ソレなんて幸福すぎるパラダイス??

「君たちは、彼女たちに会ったら、敬意と愛を込めてお嬢様と呼べ。そして跪け。以上だ」
「押忍!!!」

風紀委員達は、幸せの余りにホワホワえへえへしたが、声だけは凜と張り上げた。
が、雲雀が、ぷん、とまたそっぽを向いた。

「で…でも!副委員長、君だけは除外する」
「オレは構いませんが、何故でしょうか?委員長」
「な、なんて質問をするの…?草壁哲矢!!君が、お嬢様とかお姫様とか呼んで、跪いていいのは、当然に頂点の僕だけに決まってるのに……!!」

並盛一の清純可憐、再び鈍器両手に仁王立ち。気の所為か、ずごごごごご、とか地響きの音が聞こえる。
だが、副委員長・草壁哲矢は、ふっと男前に笑った。

「そんなに、ヤキモチを妬かなくても、オレは委員長だけですが?」
「だ、誰がヤキモチっ!?僕は、ムカついただけなんだからね!!」

絶対、ヤキモチだー!お嬢様でアイドルなのに、何で副長にヤキモチ!?

「委員長、お怒りになっても貴女は可愛らしいですが、出来る事ならば、オレは貴女の笑顔を見ていたいので。跪けと仰るのなら、オレは……貴女だけに」

草壁は、長ランの裾が床の埃で汚れるのも構わずに、雲雀の足元に跪くと、雲雀の白い手を取り、その甲に、ちゅ…とくちづけた。

「……っ、きゃああああーーー!!!」

という、雲雀の乙女な悲鳴が、廊下まで響き渡った。

「ぼ…僕の手に!何をするの!?草壁哲矢っ!!」
「お手でご不満ならば、その、委員長の桜色の唇に致しますが?」

副長、思いきり抜け駆けで口説いてるけど、命懸けだよ漢だよ……!次の瞬間には、(3階の)窓ガラスがぱりーんってする感じに、委員長のトンファーでぶっ飛ばされるんだよ……!!

と、風紀委員達が、救急車を呼ぶべきか葬儀屋を呼ぶべきか思案していると、雲雀は頬どころか、耳や首筋までぱぁっと綺麗に染まりながら、蚊の鳴くような声で、草壁に返事をした。

「……い、いいよ……?草壁哲矢、僕も、君だったら……」(もじもじ)

えええ━━ΣΣ(゜Д゜;)━━!!!

「光栄です、……恭さん。一生貴女だけにします」(←男前な微笑み)
「あ…当たり前でしょ!!余所見なんかしたら、僕は絶対に許してあげないんだからね、哲!!」(←ツンデレ)

ちょ!恭さんと哲って、何!?いつの間にそんな事になってたんだよ!!
そして、まさかの婚約成立ーーーー!!!

草壁が立ち上がり、ぽーっとなっている雲雀を己の逞しい胸に抱き寄せ、雲雀の華奢な顎とそっと上向かせた。そして、スマートに唇を重ね……る直前で、副委員長じゃなくて副長で番長的に物騒な視線を、風紀委員達に向けた。

「ああ?文句有る奴、全員前に出ろ。まとめてオレが相手してやる」

……文句は有っても、命は惜しい件について。

雲雀が、草壁の腕に抱かれたまま、もじもじと恥じらいながら言った。
「僕は……哲ひとりにするから、みんなは、10万人の大切なお嬢様達を、しっかり守ってあげてくれる……?」

ずがーん、と風紀の部下達に、落雷した。
我らがアイドル・雲雀恭弥が、副長の魔の手(?)に落ちちゃったァーーー!!

だが。風紀委員達は、はたと思い出した。

オレ達には、10万人のお嬢様が居るじゃないか……!!

忠実な風紀委員達は、再び直立不動で声を張った。

「押忍!!10万人のお嬢様は、我々におまかせ下さい、委員長!!!」
「うん。でも、口説く時とか、もっと仲良くなってあんなこととかこんなこととかする時には、優しくしてあげてね……?何しろ、お嬢様だから」
「押忍!優しくしちゃいます!!」

草壁は、思った。

あんなこととかこんなこととか、一体何だよ……









〜Thank you very much!〜

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注1:2011年12月24日に世界人口が70億人突破した。ちなみにコレ書いたのは2012/5/31thu.

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