01

 〜CAST〜


雲雀恭弥:告天子(ヒバリ)。死神の力を持つ、黒い翼の天使。

六道骸:翠雀(ルリ)。最も神に愛された天使。





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「……本当に、赤い目になってしまったんだね…… 翠雀」

翠雀……ルリ。
長いこと、多分、何百年かはそう呼ばれていなかった。
だから、それが僕を呼んだ声なのだと言うことに、僕はしばらくの間、気が付かなかった。

最奥に閉じ込められた僕を、君が呼んだ。
闇の色の髪、闇の色の瞳、悪魔のように黒い羽根を持ちながら、君は神に愛されていた。

君の名は、告天子……ヒバリ。

神の声を告げる者。
春の訪れを告げる鳥。




かつての僕もまた、君と同じように、特別に神に愛された者のひとりだった。

だからこそ、僕は、告天子のような闇ではなく、星の輝く藍色の天を映した色の瞳の色から、「翠雀」の名で呼ばれた。

天上でも、限られた者しか入ることの出来ない神の庭は、瑠璃(ラピスラズリ)と玻璃(水晶)で出来ている。
神は、告天子も愛していたけど、それ以上に瑠璃に模した名を与えるほどに、僕を愛していた。

でも僕は、罪を犯した。

天上の、神に愛されたものでありながら、汚れに満ちた下界で出会った人間の女と恋に落ちたのだ。

永遠に限りなく誓い命を与えられた僕と違って、僕が愛した少女は、見る間に歳を取った。

人の世は、50年生きられれば上等だった時代。
最期の時、彼女は40の歳を迎えようとしていた。

出会ったばかりの頃の彼女は、まだほんの少女。
子供だと言ってもよいほどに。
幼い心で僕を選び、僕と恋をしたために、僕に攫われるまま、人里離れて山奥に隠れ住んだ。

僕は彼女を抱いた。
なのに、地上の者である彼女の卵子は、天上の者である僕の遺伝子と相容れることが出来なかった。

僕と出会わなければ、10代の初めで親の決めた相手に嫁ぎ、間もなく母になることが当たり前だったのに。

僕が、彼女の運命を、人生を狂わせた。
僕が訪れる度に、彼女は孤独なまま、早送りのように年を重ねていった。
僕を愛しているといいながら、彼女は決して幸福そうではなく、いつもいつも泣いていた。

……そんなある日、彼女は涙ながらに、僕に訴えた。

 ワタシヲ コロシテ

……どうか、僕を置いて行かないでください。
行かないで……逝かないで。

僕は、自分の衣服に彼女の血が染み込むのも構わずに、彼女に縋り付き、泣き崩れた。

もう、とどめを刺すまでもなかった。
彼女がもう長くないことなど、ひとめで分かった。

僕は、出来る限り頻繁に彼女に会いに行っていたのに。
天界と下界では、時間の流れる速さが違いすぎた。

彼女は、僕が訪れない長い長い時間の孤独に絶望し、自分だけ老いていく悲しみに耐えきれずに、自ら命を絶とうとしたのだ。

 ワタシヲ コロシテ ……


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