11

恭弥は、涙を浮かべたまま、儚く笑った。
「僕のこと…、お嫁さんに、してくれるの?」

恭弥は、着物の前を開かれて、白いたおやかなからだをオレに暴かれても、一切の抵抗をしなかった。

「夢みたい……。僕は、生きることを諦めてしまったばかな子なのに、……さいごに、好きになったひとのものに、なれるんだね」

さいごだなどと、聞きたくなかったし、信じたくもなかった。
「オレなどを……好きだというのなら、行くな。ずっと、オレのもので居ればいい!」

発達途上の少女らしい、慎ましい胸の膨らみは、オレの無骨な手の中に、ちょうどすっぽりと包み込まれた。
おずおずと、オレが慣れぬ手つきで揉んでやると、ふんわりと柔らかく、優しかった。

「……ふ、ぁ……っ、哲の手、あったかい……」
「あたたかいのは、お前もだ。……お前が、死人なものか!お前は、こんなにも、生きている。オレの傍で、今……!」

オレが、柔らかい乳房を揉み、撫でさすると、少女の白いからだがビクンと反応し、小さな声が上がる。
恭弥自身も理解出来ていない快楽と、仄かな媚態。

いつの間にか、ぷつんと自己主張している小さな乳首が、可愛らしかった。

「…やぁんっ、あああッ…!」
オレが吸いつくと、恭弥は泣きそうな悲鳴を上げた。

「て…つ、僕のからだ、ヘン、なの…。怖い……っ」
「……痛くないのなら、大丈夫だ。気持ちがいいのなら、そのまま感じていろ」

恭弥の頬が、恥じらいと戸惑いに染まった。
「気持ちよくて……いいの?僕、初めてお嫁さんにしてもらうときには、痛いんだって思ってたの」
「……恭弥。最後には、痛くさせてしまうと思う。だから、それまでは、お前を良くしてやりたい」

桜に宿り続けた恭弥は、男と女がする行為については、ごく淡いイメージしか持っていないらしかった。
オレはオレで、不良のクソガキなりの、歪んだ性知識しか持っていなかった。

オレは、自分の身勝手で、無垢で無知な清らかな恭弥に、苦痛を強いるのだと知っていたのに、止まれなかった。

「……あ、…あ、…あ、……て、つ……」

桜の少女が、桜色に染まり、オレの拙い愛撫を受けて、全身に薄紅の所有印を刻まれて、うっとりと、その身体の力が抜けてゆく。

「僕を…抱き締めて、哲……」
「ああ。恭弥……」

肌を重ね合い、そっと抱き締め合った。
……あたたかかった。お互いのぬくもりを交換し、命を分かち合うように。

それは、欲情と言うよりも、ただ寂しい子供が、凍えぬように身を寄せ合うのに似ていた。

必要とされずに産声を上げなかった少女と、産まれてきたのに必要とされなかったオレと。

どちらも、寂しくて悲しい子供に過ぎなかった。
それでも、こうして肌を重ねれば、唇を重ねれば、欠けた魂を補い合うように、オレも恭弥も、確かな幸福を見出せた。

夢でも、幻でもなかった。



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