勉強会は恋を結ぶ



取り敢えずすみません、誰か助けてもらってもいいですか?

私の目の前に座るこの人、手塚国光クンから。



『望月、聞いているのか?』



…近い近い、マジで近いからーー!!

目の前に座るのは同じクラスの手塚で、何と、

ココはその手塚の部屋だったりする。



「――きっ、聞いてる聞いてる!」



本日、学生にとっては嬉しい花の土曜日。

午前中の今、本当ならば私はまだ夢の中のはず。

こんな事になった事の発端は今から24時間ほど前、

つまりは昨日の4限まで遡ることになる。

学校でテストが返って来たのが全ての始まりだった。

どうしても苦手な教科が毎回赤点で今回こそは!

と思ってたテストも赤点で、いつものように

先生が補習してくれりゃいいのに何でかどうしてか…

私に勉強を教えてやってくれ、と手塚を指名したのだ。

いや無理だって、それはダメだって先生。

だって、私は――…



『聞いていたのなら今俺が言った事を言ってみろ』

「……え?えーと、お腹空いた?」



何たることか彼に想いを寄せてたりするのだから。

まあ、そんなわけで只今手塚に勉強を教わってる最中なのだ。

ドキドキし過ぎて全く頭に入って来ないけどね!



『…腹が空いたのはお前だろう?』

「いや、まだ空いてない」

『まったく。聞いてなかったなら聞いてなかった、と素直に言え』

「…あい、すみません」

『それで、望月はどこが分からないんだ』

「え、もう分からない所が分からないほどに。取り敢えず、ここら辺まではギリギリ」

『…――まずここは…』



その後、もう本当に申し訳ないと思うぐらい

手塚は細かく、詳しくきちんと教えてくれた。

…私、取り敢えずとても単純なようです。

先生の解説は全然耳に入って来ないくせに

教え方が上手いせいか手塚が教えてくれた所は

結構すんなりと理解する事ができたのだから。



『――ひとまず休憩にして昼食にするか。ちょっと待ってろ』

「え、いいよ!そこまで迷惑掛けられない…」

『気にするな、母さんから取りに来いとメールが来ていたからな』



そう言って、手塚は部屋を出て行った。

数分して戻って来た手塚の手にはオニギリと数種類のオカズ、

そして、飲み物とコップ二つが載った二つのトレイ。

私がその一つを受け取ると手塚は優しく笑った。



「テーブルの上も軽く片付けといたよ」

『すまない』

「ううん、こちらこそご迷惑お掛けして」



その後、手塚のお母さんが作ってくれた昼食を美味しく頂いて

続きを、と再び勉強道具を広げようとした刹那、



『米粒が付いてるぞ』

「…え?うそ!どこ!?」



手塚に告げられたその言葉に私は恥ずかしさもプラスされ

慌てて自分の口元付近を手の甲で拭う。



『違う、そこじゃない。――ここだ』



そう言って、手塚は私の頬にくっ付いていた米粒を取ってくれた。

うわ、何コレ超恥ずかしい。何なのこの羞恥プレイ…!

っつか、私も中三にもなってなに米粒とかくっ付けてるの!



『…――優花』

「え?な、…今、名前…」

『俺は何とも思ってない女子を自宅に呼んで勉強を教えるほど優しくない』

「え、ええ?」

『この意味が、お前に分かるか?』



そんなの、調子に乗るな、って方が無理じゃないか。

もう取り消しとか聞かないから、
私を調子に乗らせた手塚が悪いんだからね。




勉強会は恋を結ぶ
(…好きです、)(俺も好きだ)(先生に感謝、かな)

優花さんへ捧げます。
相互ありがとうございました!

2011/02/12 蓮見美桜


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美桜さんありがとうございます!

相互サイト「願わくば、君と。」の蓮見美桜さんより頂きました、手塚と勉強会。


もうほんっとーに手塚がイケメン過ぎるという罠ww


手塚と勉強会したいなぁ…
何より、彩菜さん(手塚母)の作ってくれたご飯が食べたいです!(←)


相互記念作品ありがとうございました!




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