サプライズ!



『家にいるといいけど…』


私は"荒井"という表札を前に、今さらながら、もしいなかったらどうしようかと思う。

記念日なわけだし、家族と出掛けてたっておかしくない。
それに春休みなんだし、部活とか旅行だって有り得る。


でも、と確認の意味も含めてインターホンを押した。

ピンポーン、と鳴り響くと少し遅れてから、はいはーい、と低い声が聞こえた。


『…なんだ、いるじゃんか』


ポツリと呟いた声は、ドアを開けた張本人にもしっかり聞こえていたようで「居ちゃわるいかよ」と不機嫌そうに文句をもらした。


「で、家まで何しに来たんだよ?」
『お邪魔しに』
「ま、いいや。今日ウチ誰も居ねぇし。ちょっと汚ねぇけど、上がれ」
『はーい』


言うほど汚くもないのに先輩らしい。
綺麗に片付いている、ホントにこれで中二なんだろうか。というか意外。


『今日、ご家族は?』
「俺んとこ共働きだから、いつもだよ」
『お昼ご飯は?』
「いつも自炊だ、昼だけな。今日はまだ食ってねぇけど。…お前は?」
『食べてないですけど…』
「何か作るか?」


こんなに自分のことちゃんと出来る人だったのかと感心する。もっとお母さんに助けられてばっかいるような人だと思ってた。

私はバッグを漁ると、大きめの包みを取り出す。


『一緒に食べません?』
「どうしたんだ、ソレ」
『手作りです。先輩の分も一緒に、多めに作ってきました』
「…さんきゅ、もらうわ」


テーブルに移動して包みを開くと、重箱とまではいかないものの大きいお弁当箱。一人だったらとてもじゃないけど、二人だったらちょうどいい。


「俺が家いなかったら、っつか飯食ってたらどうしたんだよ、この量…」
『家いなかったら、はさすがに無理ですけど、家いたらご飯食べた後でも頑張って食べてくれそうだな、って』
「お前なぁ…」


それに今日はどうしても会いたかった。
だって今日は3月29日だから。

『美味しかったですか?』
「望月がこんなに料理上手いとはな」
『むー、素直に美味しいって言えばいいのに…』
「ははっ、誰が言うかよ」
『…今日くらい素直にすればいいじゃないですか』
「あ、何で?」
『何のために手料理作ってきたと思ってるんですか…まったく、もう』


先輩が、お前知ってたのか!?という顔をする。
当たり前でしょ、好きな人の誕生日くらい知ってなきゃね。



『先輩、誕生日おめでとう』


そう言って先輩に抱き着いた。



サプライズ!
(おまっ、)(愛の告白と私がプレゼントなんですけど、いりません?)(…もらってやる)



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あれから1日半ちょっと経ちました!

まさかの荒井先輩夢です
荒井先輩は昔からふつーに大好きだったんですが、そーいや誕生日そろそろだなぁと思ったら、主要キャラでサエさんしかやっていないはぴばに手が伸びてしまった所存です←


マイナーとか言わないで!


03/29 青学 2年 荒井将史
HAPPY BIRTHDAY!




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