愛の法則はたった一つ、だそうです。
私には、腐れ縁の幼なじみがいる。
* * *
朝起きて時計を見ると、
『……!…っやば』
いつも家を出ていく時間だった。
急いで制服に着替えて、階段を駆け降りる。
リビングのドアを開けると、苦笑いしたお母さんと、
…赤い髪がいた。
「優花、寝坊なんて珍しいわね?」
「よーっす。遅いから来ちまったぜぃ」
お母さんから、ラップに包まれたおにぎりとお弁当を渡されながら、
赤い髪を無視し、「いってきまーす」と言って家を出る。
「ちょ、優花!!?置いてくなって!!」
…ブン太の焦った声と、
お母さんの楽しそうな、いってらっしゃーい、という声を聞きながら。
『…ってか、なんで先輩がいるんですか』
「お前寝ぼけてんの?だから、遅いから来ちまった、って言ったろぃ」
おにぎりを貪りつつ、不機嫌な声で聞くと、小馬鹿にしたような返事がくる。
…質問の意味間違って受けてるんだけど、こいつ。
『そんなん知ってるっつーの。…待ち合わせしてないのになんで?って話よ』
あたしたちは親が同級生なだけの、ただの「腐れ縁」の「幼なじみ」という関係、
…だったハズ。
ちなみに、小学校高学年からブン太一筋のあたしは、その関係が心地よすぎて壊せない。
「別にいいんじゃね?俺ら幼なじみだろー」
『はぁー。よりによって、ブン太と一緒に登校とかー』
「んだよ、俺じゃヤなのかよ」
『別にー?…あ、ブン太。寒いからポケットに手、突っ込んでいい?』
好きになるのに理由はなくて、あたしの中で「お兄ちゃん」だったブン太が、
「大切な人」になったのはいつだったっけ。
「はぁ!!?ふつーソレの方が嫌がるだろぃ」
『だって、あたしとブン太の仲じゃん』
「…まぁ、えーけど」
照れ臭そうにあたしの手を握って自分のポケットに突っ込むブン太が、かっこよく見えた。
言ったら調子に乗るから、絶対に言ってやんないけど。
『…あたし、やっぱブン太なしじゃ生きていけないかなー』
そう呟いた声が聞こえているかはわからないけど、
「俺、…優花なしじゃ生きていけねーかも」
と、ブン太が言ってくれたから、結果オーライなんだと思う。
愛の法則。
それは、あたしたちがお互いに愛してるという同じ想いを秘めていること。
ま、結局は理由なんて要らないくらい、…キミが好き!
愛の法則はたった一つ、だそうです
(あたしの、聞こえたの?)(…おう)(そっか。好きだよ、ブン太)(俺は優花のこと、愛してるぜぃ?)
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企画「王者=立海」様に提出。
立海で一番好きなのはたぶん真田(←)なんですが、今回はブンちゃんで参加させて頂きました。
私はギャグやら甘やら切やらが苦手(要するにすべて)なので、いろいろと大変なとこもありましたが、楽しかったです!
そして主人公は、天邪鬼なのかツンデレなのか…。
最後に、素晴らしい企画に参加させて下さった愛結さま、ここまで読んで下さったみなさま、有難うございました!
どこかの企画さまで見かけたときはシクヨロ(←)お願い致しますm(_ _)m
*望月優花*
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