腐れ縁の続行
深夜一時。私がベッドから起きてリビングへ行くと、明かりが点いていた。…母さん消し忘れたのかな、なんて思いながらドアを開けると、
「…あ?」
そこには私の幼なじみである、仁がいた。…仁とは、親同士が仲がよくて小さい頃からよく一緒にいた。ただ何をするでもなく、一緒にいるだけ。でもそれが幼いながらも、とても心地好く感じた。それは今でも変わらない。
『…仁、何してんの』
「…クソババアに連れてこられたんだよ」
『優紀ちゃんに?』
「あそこ見てみろ」
顎で指し示された方を見ると、酔っ払って潰れたのであろうお互いの母親。…うわ、しかも空きビンと空き缶だらけなんですけど…。
『ありゃりゃー、…誰が片付けると思ってるんだよ、この人たち』
「ンなこと考えてすらねェだろ」
『…言えてるわー』
毎年冬のこの時期になると、忘年会やら新年会やらを必ず開いている気がする。
去年…と言っても、つい何日か前だが、やはり同じように酔い潰れた二人を見たのは記憶に新しい。
床に放置された空き缶を少しだけビニール袋に入れ、仁が座っている前の椅子に座る。すると珍しく仁の方から口を開く。
「優花…お前、何でこの時間に降りてきた」
『あたしー?ああ、神社行こうと思ってたんだけどさ、』
「…初詣か?」
『でもいいや、やめる。仁いるし』
「…っは、そうかよ」
クツクツと笑う仁に安心感を覚える。…周りには見た目やら口調やらで恐がられることが多い仁だけど、本当は優しいってことを私は知っている。
『仁さー、』
「…ンだよ?」
『…あー、やっぱなんでもない!』
私にとって仁は、切っても切っても切り離せない、いわば腐れ縁という関係だと思う。だからといって、それが嫌だと思ったことはないし、むしろ嬉しいくらいだ。
このなんでもない日常が私には幸せで、まあ、仁がそんなこと考えてるとは思わないけども。
自分の気持ちに気付いて、この関係を壊すのは、まだ先でいい。告げるのに何年かかるのか…心地好すぎるのも問題かもしれないが、今はもう少しこの関係を続けたい。
「…ババアたちが起きたら、行ってやってもいい」
『…、ははっ、それじゃあ午後になるじゃんか!』
「この調子じゃそうだろーな」
とりあえず片付けるか、と立ち上がった仁に続くように私も立ち上がった。
腐れ縁の続行(初詣が午後になったのは)(言うまでもない)
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企画
プリムローズさまに提出
あけまして一発目は亜久津!
母親は二人ともシングルマザーで仲良しです^^
2012/01/02 望月優花
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