*いろいろ酷い
*見る人によったら不快になるかも
*下世話
















「君はなんて言うかあれだ、ボーイズラブのAV男優だったらなかなかいい線いってるよね」
「…………は?」


突然切り出した話題に目の前の彼は見たことのないような顔をした。
ただ単に目を丸くさせた表情なんだけど、彼は僕が嫌いらしいから基本的に嫌そうな顔か無愛想な顔しかしない。
うん、実にレアだ。


「……おま、何言ってんだ」
「君が男受けしそうな身体と顔してるって話だよ」
「よし分かった死に曝せ変態オヤジ」


拳を握り締めて襲いかかってきそうな鬼崎くんを宥めながら苦笑する。


「まぁ落ち着きなさい。おじさんの話もちゃんと聞いてくれないか」
「今はまだ冷静だから謝罪の言葉だけだったら受け入れてやるぞ」
「……本当の事を言ったまでさ」


声色をわざと変えて言うと鬼崎くんは瞳の憤怒の色にして殴りかかってきた。
それを僅かに術を使いながら避け、足を引っ掛けててやれば後方に派手に転がる。


「やけに剥きになるね。何か心当たりでもあるのかい?」
「っ……、男相手にんな事言われて怒らねぇやつがいるとでも思ってんのか」


敵意剥き出し、と言ったところだろうか。
そりゃそうか。
僕もそんなこと言われたらここまで怒んないけど不快な気分になるだろう。
でもなぁ、


「実際そうなんだし……」


彼に聞こえない程度にぼそりと呟き、埃を払いながら立ち上がって睨み付けてくる鬼崎くんを顎に手を当てながら見返す。


「そういうところがそそられるんだがなぁ」
「まだ言うかテメェ!」
「だから聞きなって」


両手でどうどうとする仕草をしながら笑ってみせると、少しの動揺が見えた。
何だかんだで君もそう言われる理由と、そうされる理由が知りたいんだろう?


「男っていうのは抵抗された方が燃える傾向がある。実際僕もそうだし君もそうだろ?」
「…………」
「更に同性愛者となれば相手を屈服させてる感覚、服従させることに興奮を覚えるはずだ」


喜ばないのなんてマゾか服従型なやつじゃないかな、と明るい口調で話しながら様子を窺う。
その顔は気まずそうに目線を下げ、唇を引き結んでいる。
心なしか顔が青白くも見えた。


「具体的な例で言うとそうだな、狐邑君のような儚げな感じや犬飼君みたいなショタ系、大蛇君のような美人系は抵抗されても弱いイメージがあるからAVとしたらいまいちだ。まぁそういうタイプが好きなら話は別だけどね」


白昼堂々と男二人で何を話してるんだか。
周りから見れば中々シュールな絵だろう。


「で、その観点からだと気の強い鴉取君でもいいんだが彼は身体が小さいし簡単に組み伏せれそうだからこれまた向かない」


じゃり、と砂の音を出したのは必死に踏ん張ったからだろうか。
ここから逃げ出すのを。


「残るのは体格も良くて気が強い狗谷君と君だ」
「っ」
「自分と同じくらい、またはそれ以上の体格をした人間を組み伏せられて、自分に敵わないという状況を作れたら加虐心は煽られるだろう?」
「……それで、何で俺なんだ?だったら狗谷だって、」
「受ける側の性癖の問題かな。君はどちらかというとマゾっ気があるって聞いたことがあるし」
「…………」


押し黙る鬼崎君は肌が白くなるほど手を握り締めていた。
怒ってるのもあるんだろうけど他の理由の方が強そうだ。


「これがAV男優向きだって言った理由さ。……何かの役にたてたかい?」
「た……つわけ、ねぇだろ」


震える声に笑みが深くなる。


「君は最初こそ本気の抵抗をしたが、あとは口と本気じゃない力で拒む程度だった」
「……っ、な!?」
「傷つけられなかったんだろう?」


君は優しいから。


静かに告げると見開かれる瞳と震える身体。
ほら、君は加虐心を煽るのがうまい。
ぞくぞくするねぇ。


「事実、なんだろ?」
「……お前気持ち悪いな」


突然の暴言に虚を突かれる。
まだ悪態を吐く余裕はあったのか。
いやぁ、ますます虐めたくなるよ。
口角を上げて彼の傍まで近寄り耳打ちする。


「そんなわけで鬼崎君。僕は君に興味がある」
「な、にが、言いてぇんだ……」


あくまでもしらをきるつもりか。
いちいち言わせたいなんて君も物好きだな。


「単刀直入に言ってしまえば君を抱きたい、いや、犯してみたい、と言った方が無難かな?」


正直に言うと肩が跳ねたのが分かった。
普通の反応だけどね。
でも真剣に暴れられたら僕が敵うはずもない。
犯すことはある程度同意がないと不可能だ。


「僕の遊びに付き合ってくれ」
「…………」
「ん?」


声をかけても反応が無くて、俯いてる顔を覗き込んで目を丸くさせた。
そして徐々に笑みを深くさせる。


「めんどくさいからここでもいいかな」


真っ赤に顔を染め上げて、我を抱くようにする彼は男を覚えてしまい、その感覚を思い出してしまったんだろう。
憐れと言うべきなのか、浅ましいと罵るべきなのか。
まぁ、そんなことはどうでもいいか。
取り敢えずそこら辺の森にでも連れ込んでしまおう。

何でこうも上手くいってしまうのか。
いやはや、自分が怖いね。














楽観する

(いやぁホントにさ、人生は楽しまなきゃ損だよね)




















凄い抵抗してるのに敵わない方が見てる側としたら萌えます。
ほとんど私の考察です。
拓磨ビッチ未遂。





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