『好きだよ、お前のこと』





戦場へ向かう前にそんな軽い感じで告白された。
目を見開いて凝視する俺に対し、あいつは俺の顔を見るなり吹き出しやがって。


『……おい、テメェで言っといて何で笑うんだ』
『いやぁ、悪い。お前があんまりにも間抜け面してるからよ』


肩を叩いてくる原田の手を払いのけながらじと、と睨みつける。
未だに笑う原田に文句を言おうとしたが、それは手で口を塞がれてしまい叶わなかった。


『悪いな、驚かせて。でも、会えなくなる前に言っときたかったんだよ』


遠くを見据える横顔に時が止まったような錯覚に陥った。
原田が示唆していることは容易に分かってしまう。
するりと手が離れ、低めの体温が名残惜しく感じた。
そのまま黙って歩き始める原田に後ろから声をかける。


『おい……、』
『あぁ、返事ならいらねぇからな』


呼び止める俺の声を遮るように告げられた言葉。
それに何故か、俺は虚無感を覚えた。


『じゃあな不知火』


振り返りざまに見せた綺麗な笑顔は、泣いているように見えた。





───────





「っ……ま、待て不知火……!」
「うるせぇ」


慌てて後ずさるこいつに覆いかぶさるようににじり寄る。
逃げ出そうとするそいつの手を掴んで無理矢理押し倒せば顔から不安が滲みでていた。


「阿呆面」


そう呟くとそいつ、原田は髪と負けず劣らずなくらい顔を赤くさせた。










あの後、偶然にもまた原田と遭遇した。
しかし、その姿は全身血まみれ傷だらけで、生きてたのが不思議なくらいの重傷を負っていた。
俺は何かに駆り立たれるように原田を連れて帰った。
医者に見せてから何カ月か経ったくらいに原田は目を覚まし、再会を果たした。










その後は何となく原田と共に過ごしていたのだが、少し問題があった。
原田は何故かぎこちなく、更には俺をどことなく避けていた。
それに業を煮やして現在に至る。


「何で避けるんだ?」
「……いや、そんなことは、」
「まさか、俺に告白したのが気まずくて避けてるとか言うんじゃねぇだろうな」
「…………」


図星か。


「お前、自分から言っといてそれはねぇだろ」
「だからあれは、もう……会えなくなるって思ったから言ったのであって……」
「そうか……もう俺のことは何ともないのか?」
「そんなはずないだろう!」


大声を上げる原田に内心驚きながらもはぁ、と溜め息を吐いた。


「じゃあいいじゃねぇか」
「な、なにが、」


言い募る原田の口を自分のそれで塞ぐ。
黙らせるのが目的だったが以外によかったからそのまま舌を捩じ込んで口内を蹂躙した。
驚いて身体を跳ねさせた原田だったが、甘ったりぃ声を出したり舌絡ませたりしてきたんだから満更ではなかったんだろう。


「はっ……ぁ」
「…………」


原田の色気は尋常じゃなかった。


「……これで分かっただろ」


とりあえず頭の邪念を振り払い原田に確認をとらせる。
目を見開いて固まる原田にまた溜め息を吐いて手に力を込めた。


「なんで……」
「言っとくが、あの時返事を聞かなかったのはお前だからな」


自覚はあった。
ただあいつの気持ちを汲み取ってあえて言わないでおいた。
だが、こうしてまた会えたなら話は別だ。


「ったく、どんだけ待たせれば気が済むんだテメェは」
「不知火……」


僅かに震える手を取り、指先に口吻ける。
馬鹿みたいなすれ違いはもう真っ平だ。


「原田、いい加減俺のモノになれ」


こいつが泣き出すまで、あと五秒。















得る

(やっと、手に入れた)




















不知火さんからどっちの返事もらっても辛いからと一方的に告った原田さん。
でも不知火さんも好きだったんですけど、そこで思いを言えず一回おあずけ、原田さん見つけて目を覚ますまで二回目おあずけ、原田さんに避けられ三回目おあずけ。
不知火さんよく頑張った←


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