天上天下唯我独尊。


この言葉がこれほど似合う奴は他にはいないんじゃねぇかって思う。





いつも勝手で人の言う事なんか聞きやしねぇ。
唯一あいつを咎められる天霧だって頭を抱えるほどだ。
俺なんか特に被害の対象だ。
気に喰わねぇことがあれば殴られる。
まぁ俺も黙ってやられる性質じゃねぇから勿論反撃、つまりは戦闘するわけだが殆ど天霧に中断される。
その後は、腹いせにというかやつあたりで手酷く犯される。
下なんて屈辱的この上ないんだが、何故か、こういうときばっかりは大人しくしてやっててもいいかと思っちまうんだから大概俺の頭も終わってる。



ちなみに言っとくが、普段は俺が上だ。





『俺に、逆らうな』


最早決まり文句なこの言葉。
いつもみたいに不敵に笑いながら言えばいいのに、怯えるような目をして声を震わせて。
まぁ、絆されちまった俺が悪いんだろう。
誰が抵抗できるっつうんだ。



こいつの裏の顔を知っているのは俺だけだ。


逃げ場を作れるのは俺だけだ。


心地いい優越感に溺れた俺は、本当に馬鹿だ。





───────





「じゃあな、俺は行くぜ」


愛銃に弾を装填して肩越しに振り返る。
不愛想な顔のまま風間は何も言わない。
ハッと皮肉を込めた笑みを浮かべて俺もまた何も言わずに歩き出す。
案外簡単に送り出されたことには驚いたが、そこに少し寂しさを覚えたことに更に驚いた。


「不知火」


若干傷心に浸かっているところに聞き慣れた低音が耳に入る。
目を見開いて振り向くと変わらない表情のままの風間が立っていた。


「生き残れよ」


静かに動かされた口から出た台詞に俺は言葉を失ってしまう。
その裏に隠された思いを徐々に頭が理解して、つい笑ってしまった。


「……くくっ、ばーか」


大股で風間の元へ引き返し、金髪の頭を片手で引き寄せて抱き締めてやる。
僅かに震えたその身体にまた笑みが零れた。


「そういう時はな、生きて帰って来いって言うんだよ」


空いていたもう片方の手を背中に回して改めて抱き締める。
控えめに回された背中の温もりに、柄にもなく愛おしさが込み上げた。
やっぱ俺はお前に惚れてるみたいだ。


「待ってろよ」
「……俺に、指図するな」


何時ものような命令口調で返されちまった。



可愛くねぇ。



腹は立たなかったが少し悔しかったからその減らず口を俺のそれで塞いでやった。















令する

(たまには俺のも聞いてくれよ)




















原田さんルートの不知火さんと風間さん。

精神的には不風で、身体的に風不なのがうちのスタンス。
一見風不風じゃないかと思うが身体的にも不風が基本だから表記は不風不。
風間さんより大人な不知火さんとかかっこいいと思うんだ。
ちょっと歪んでるけど、それでも愛し合ってるんです。

どうでもいいけど不知火さん表記を「不」にするか「匡」にするか死ぬほど悩んだ。


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