捨てられて、捨てられた。
別れて幾数年。
僕よりずっとずっと大きくなっているだろう姿を思い描いて瞼を伏せる。
昔から好きだった彼への気持ちは変わってない。
きっと、また会えば惚れ直してしまうんだろう。
『またって、いつ?』
「拓磨先輩……僕も僅かですが、力を手に入れました」
僕は、早く強くなりたいです。
そして、先輩の隣に立って戦いたい。
役に立ちたい。
「覚えて、くれてるかなぁ……」
貴方の心に僕は残っていますか?
自傷気味に笑って、目を細めながら懐かしい日々を思い出す。
その度に楽しくて泣きたくて、嬉しくて悲しくて。
胸が、締め付けられて。
「先輩……僕は、」
今はどんな顔で笑うのか、どんな声で話すのか、
それを知ることすら許されない。
「会いたい……!」
どうしようもないくらい涙が溢れ出た。
焦がれる
(こんなにも貴方を想ってる)
中学くらいな慎拓を想像していただければと。