*SSL










「おーい土方さん。生きてるか?」
「……おう」


かろうじて、だろうが。
保健室のベッドに横たわる土方さんはまるで生気が無い。





今日は一日外に出ていたんだが、取りに行くものがあって学校に戻った。
既に学校は閉まってる時間だったが職員室の明かりがついていたからそこにいる人物の大方の予想をつけて向かった。
しかし、予想をつけていたからこそ、入った瞬間血の気が下がった。


「倒れるほど無理すんなって前にも言ったよな?」
「…………」


だんまりを決め込む土方さんに溜め息を一つ。
机に突っ伏してるだけならまだしも床にぶっ倒れてるんだからそりゃあもう焦った。
水で冷やしたタオルを目の上に乗せてやると土方さんの肩が少し跳ねる。


「気持ちいいだろ?目、充血してた」
「そう、か……」


掠れた声で答える土方さんに苦笑して額に手を乗せる。
少し熱い。
どうせこの人の事だから寝不足の上食事もろくにしてなかったんだろう。
青白い頬を優しく撫でてその手を首まで滑らせる。また身体が跳ねた。


「さ、の……っ」
「なんだ?」
「それやめろ……」
「……やめてほしいなら俺の言う事聞けよ?」


普段より低い声のトーンに土方さんは黙って頷いた。
約束してくれたので首から手を離す。


「取り敢えず明日は休みだからちゃんと休養を摂ること。それと、俺の家に泊まる事」
「なんで……」
「あんたを家に帰したところで素直に休むとも思えねぇしな。見張りも兼ねて」
「約束は守るぞ」
「守ったとしても土方さんの基準じゃ休んだ内に入らないんだよ」


二の句が告げないと言ったところか。
身体の専門知識を持つ俺が言ってるんだからそれもそのはずだ。
視界を遮ったまま唇を引き結んでいる土方さんに笑って濡れタオルを取り払う。
クマの出来た腫れぼったい目にキスを落とした。


「っ、何すんだ……!」
「あまりにも痛々しくてな、つい」
「理由になってねぇ」


目を鋭くさせて睨んでくる土方さんはクマとか充血のせいでいつもより数倍怖い。
というか恐い。
苦笑を溢して買ってきておいた水を煽って口に含む。
そのまま土方さんに覆い被さって薄く開いた口に水を流し込んだ。
土方さんはピクリと身体を強張らせたが抵抗はない。
コクリ、と喉が嚥下したのを確認して口を離す。
口の端に流れた飲みきれなかった水を舐めとるとスパンと小気味良い音と共に左の頭に衝撃。


「いてっ」
「調子のんな阿呆」


片手で目元を覆い疲れた声を上げる土方さんだったが、頬に赤みが差しているのは熱が上がったからではないだろう。
ここまで素早い動きが出来るようになったってことは少しは回復したか?


「……言っても聞かないからいつもダウンするまで好きにさせてやってるんだ。倒れた時くらい俺の好きにさせてくれよ」
「……すまん」
「分かってんならそれでいいさ」


本当は無理にでも止めたいんだけど、それだと結果更に自分を追い込ませるから。
出来るだけサポートをして、限界になったら休ませる。
それが俺のやり方だ。
今回は俺が見抜けなかったから限界突破しちまったみたいだが、もうこんな事にはならないようにしたい。


「さて、そろそろ帰るか。土方さん、立てるか?」
「…………」
「……?ひじかたさ、」


立ち上がって手を差し伸べるが土方さんは横になったまま動こうとしない。
不思議に思って顔を覗き込むと勢いよく首に腕を回された。


「ぇ、あの……どうした?」
「立てねぇから、連れてけ……」


ぼそぼそと弱々しい声が耳に入る。
横目で見ると耳がほんのりと桜色に染まっていた。
不謹慎だが白い肌にその色はとても綺麗に映えて見えた。


「はは、分かったよ」


笑みを溢して膝の下に手を差し入れ横抱きにする。
簡単に上がったその身体の軽さに内心溜め息をついて土方さんに視線を向けた。
やっぱり顔色が悪いし目も潤んでる。
さっきよりも悪化してるし、気が緩んで熱が出てきたか。
これは相当ヤバイかもしれないな。


「土方さん、もう少し頑張れよ」


一声かけて急ぎ足で車に向かった。















無茶する

(だから一瞬たりとも目が離せない)




















包容力ってなんだっけ←
倒れても頑張りすぎた反動で甘える土方さん可愛いと思う。
原田さんだからこそできること。

煉様、リクエストありがとうございました。


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