*ぬるいエロ












「っ……ぅ」


夏の暑さで蒸し返す部屋で荒々しい息しかなかった中に小さな呻き声が突如入り込む。
暗闇に浮かぶ真上の顔は快楽の歪みでなく、痛みの歪みを見せていた。


「おい、どうした」
「……てめぇの、引っ掻いたところが染みたんだよ」


汗で、と付け加えるように告げられた言葉にあぁと一人納得した。
そりゃこんなクソ暑い中大の男二人で密着して動いてりゃ自然に汗かいて流れつくだろう。
背中に傷を付けた両手は今シーツにシワを作っている。
その右手をおもむろに持ち上げて狗谷の首の後ろに回して勢いよく引き寄せる。
広がる熱に瞼を持ち上げると間抜け面の狗谷がいた。


「……なんのつもりだ」
「んだよ。人が珍しくしかけてやったのに」


ハッ、と笑ってやればしかめられる狗谷の顔と揺さぶられる身体。
いきなりだったもんだから思いっきり声をあげてしまった。


「んあっ、は……!」
「じゃあ精々頑張れよ。俺はまだ全然足りてねぇんだから」
「くっ……ぅ、このっ絶倫が……!」


あー、くそっ。
ムカつくったらねぇなこの灰色頭は。
やる気削がれるっての。


「おい灰色頭。ちょっと身体引け」
「あ?お前やめるなんて言うんじゃねぇだろうな」
「ちげぇよ。いいからどけ」


渋々動く狗谷と一緒に身体を起こす。
ぐちゃりとなった水音に少し反応したのは仕方ないことだ。


「おぃ、……!?」


狗谷の言葉を遮って、肩を掴んでそのまま押し倒す。
逆になった頭の向きと、反転した視界に狗谷は目を見開いていた。
俺はそれに気をよくして腹に手を着きぐっ、と顔を近づける。
同時に更に入り込んで音を立てると狗谷が顔を歪めた。


「背中、汗で痛ぇんだろ?」
「っ……あぁ」
「じゃあ、痛くねぇように俺が動いてやるよ。下にいりゃ汗は垂れねぇからな」


我ながら馬鹿な事を言っている。
暑さで気が狂ったのかもしんねぇな。
口角を上げて言えば狗谷もニヤリと笑って腰に手を回してくる。


「シーツに擦れて痛ぇだろうが」
「ん?あぁ、それもそうかもな。我慢しろ」
「矛盾しすぎた馬鹿」
「うるせぇ馬鹿」


たまには気紛れに付き合え。














夏って思考おかしくなる



















リハビリ。
遼拓って夏のイメージある。
これも蒼黒のせい。







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