「暑い…」
初夏のアレクサンドリア
その男は一人悩んでいた。
彼のトレードマークともいえる鋼の鎧
これまで何の疑問も持たずに着用し戦闘をこなしてきたその鎧だが近頃やけに重量感を感じる。
「これはやはり世界が平和になったからなのであるのか!?」
ここ数ヶ月、ただ鎧に身を包みながらも自分の任務といえば時たま隣国へ赴く陛下の護衛のみ
それ以外はプルート隊の面々と共に、城の中や城下町のパトロール…
「実に平和なのである!」
(これではまるでサウナスーツを着てウォーキングをしてるようなものではないか…)
(端から見たら自分は夏でもこの暑苦しい鎧を着込んで、間抜けに見られてるのでは…)
(プルート隊のメンバーも汗で身体が痒くなるとボヤいておったな…)
一人自問自答する彼は一代決心をした。
「よし、これからは軽装にするのだ!プルート隊の夏服を作るのである!!」
意気揚々と彼が向かった先は女王の間
アレクサンドリアが落ち着き始めてからはもっぱら女王としての貫禄を醸し出してきたガーネットにスタイナーはいかにこの鎧が暑苦しいのかを熱読する。
そして女王様から一言
「そうですね…検討しておきます」
果たして女王様の検討が終わるのはいつになるのか…
あれだけの熱弁を振るいながらも、『検討』の二文字で片付けられてしまう肩身の狭さ
これが女性優位の国の定めなのか…
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