草木も眠る刻
静まりかえった室内でお互い身体を寄せ合うようにしながら眠る二人。
日中の疲れもあってか、いつもより早くベッドに入ってしまったベアトリクスを追うようにスタイナーも深い眠りに落ちていた…
意識を手放してから何時間が過ぎたのだろう。
ふと違和感を感じてスタイナーの意識が覚醒し始める…
その違和感が何なのか最初はわからなかったが、不意に伸ばした手がシーツに触れた途端、彼の心臓は止まりかけた。
厚手のシーツがじっとりと濡れていることに驚き、慌てて自分の下着に手を伸ばしたスタイナーはホッと安堵の溜め息を吐き出す。
(…ということは…ベアトリクスが…)
波立つ心音を抑えつつ、スタイナーの手がベアトリクスの太股の間にそっと割り込まれる。
その柔らかな素肌を伝って未だ流れている暖かな水流を確認した途端、スタイナーは妙な興奮を覚え自身の分身が急に熱を帯びたのを感じた…
一方のベアトリクスは自身の失敗に気付く様子もなく、気持ち良さそうに寝息を立てている。
誇張しはじめる下半身に影響されてか、スタイナーの頭によからぬ考えが浮かぶ。
(このまま自身の手で抜いてしまおうか…)
(いや、しかしこのままではベアトリクスの身体が冷えて風邪でも引いたら大変ではないか…)
一瞬自身の欲求を満たす方向に傾きかけたスタイナーだったが、なんとか冷静な判断をし、ベアトリクスを起こすことにした。
軽く両肩を擦ってみると徐に寝返りを打ち僅かに目を開けると、違和感を感じたのか驚いたように起き上がったベアトリクスと視線が合った。
「あ……私…なんてことを……」
戸惑い泣きそうな顔で俯くベアトリクス。
「ききききっと疲れてたのである!そそれか、こ…怖い夢でも見たか!?」
あまりにも落ち込むベアトリクスが可愛くて再びスタイナーの興奮が高まってしまう。
「と、とりあえず身体が冷えて風邪を引いては困る」
「ここは自分が片付けるから、お前はシャワーで暖まってくるのだ」
呆然と座り込んだままショックで立ち上がることが出来ないベアトリクスを抱えるようにバスルームへと連れて行く。
「気にすることはない!誰にでも失敗はあるではないか!」
スタイナーの不器用だが精一杯の慰めに僅かに苦笑し、ベアトリクスは浴室の扉を閉めた。
それを見届けたスタイナーは再び寝室へを踵を返す。
掛け布団を剥ぎ取ると、シーツには大きな染みとスタイナーの鼻孔をくすぐる僅かな匂い
(あぁ、ベアトリクスの…)
再び下半身が熱くなるのを感じながら、汚れたシーツをベッドから取り外し綺麗なシーツに黙々と交換する。
そんな作業中でもスタイナーのモノは熱を帯び続け下腹部に届かんばかりになっている。
そこへ気まずそうに戻ってきたベアトリクスに気が付き顔を向けるが…
彼女はスタイナーの下着越しの下半身を見て固まっている。
「こ、これは…あ、いや、その……」
恥ずかしさと情けなさで口ごもるスタイナー。
しかしベアトリクスは無言で歩み寄りスタイナーの足元に膝を付く。
「お詫びですよ…」
赤らめた顔でそう言うとスタイナーの下着を下ろし、反り上がったイチモツに舌を這わせる。
「ななななにを!?」
驚きすっとんきょうな声を上げるスタイナーを無視してベアトリクスは行為を続ける。
先端を加え込み、ねっとりとした愛撫をされると、早々にスタイナーを射精感が襲う。
容赦ない先端責めに、呆気なくベアトリクスの口内に粘っこい体液を放出してしまった。
それを苦しそうに喉を鳴らして飲み込むベアトリクス。
「…早いし…ずいぶん濃いですね」
「お前の口が気持ち良すぎて…全く面目ない」
ベアトリクスの言葉に後頭部を掻きながら謝罪しつつも、再度硬直し始めた下半身に二人で苦笑する。
「次は少しは長持ちするはずなのである!!」
照れ隠しにそう言うと先程整えたばかりのベッドにベアトリクスを押し倒した…
朝日が昇るまでのほんの短い時間だったか、スタイナーにとってこれまでの人生で一番思い出に残る一夜となった。
そして自分の性癖について初めて考えさせらることになる日でもあった。
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