サイカラクリズム

ある日の事。最近巷で再び騒がれ始めた切り裂き魔に関する情報を買いに、セルティが折原臨也のマンションへと訪ねて来た。そしてセルティはかつて新宿に実在した妖刀の話を臨也さんから聞き、帰って行った。首が無い彼女に対して何の皮肉か嫌味のつもりか、臨也さんが客人をもてなすのにわざわざ用意した彼女の分の紅茶を、睦月は片付けていく。ポットに残っている分は、勿体無いので後程頂こうかな。



「何か言いたそうな顔だね」

『…何か言おうかなとも思ったんですけど、相当する結論に至ったので止めときます』

「それは残念だ」



特に残念そうでもない様子で、折原臨也は肩を竦めて見せた。わざとらしい溜め息付きで。

贄川春菜の事も、園原杏里の事も、今回の事件の発端も全て把握している癖に。彼は、彼女に全ての真実を語らなかった。確証の無い情報は売れないからね、と言われればそれまでなのだが。どちらにしろ、自分が不利になる事は極力避けるのが普通であり、そうして情報を巧みに操作するのが情報屋だ。特に、この人の場合はより悪質に、しかも黒幕を張る。

それにしても、罪歌……か。



『何だか物騒な世の中ですよね…』

「あれ?もしかして、睦月も妖刀の話を聞いて恐くなったとか?」

『まぁ、明日は我が身って言いますしね』



からかい顔の臨也さんの戯言は兎も角。セルティが切り裂き魔の事を臨也さんに聞きに来たって事は、原作でいくとついに罪歌編が始まった、といった所だろう。確かに、最近通り魔事件の話題を以前より頻繁に耳にするようになってきたし……リッパーナイトの日迄は気を付けないとね。出来れば罪歌チルドレンにはなりたくないし。まず、斬られると痛いから嫌だ。しかし……ここで一つの大きな問題が生じており、これがまた非常に残念な事に、そのリッパーナイトが起こる日がいつだったかを、私は覚えていない。過去に読んだ2巻の内容や展開は覚えているのに、自分の身を守る上で必要不可欠となる、ある意味一番重要な【事件が発生するタイミング】がいつだったか、記憶が曖昧なのです。少なくとも、セルティが切り裂き魔の情報を買いに来た時点で、そう遠くない未来で起きるのは確実なんだけど……だからと言って、それまでこのまま一歩も街に出ずにココに引き込もる訳にもいかないし…。とまぁそんな感じに、身の振り方を迷ってる訳です。



「大丈夫だよ。睦月は俺が守ってあげるから」

『有り難う御座います。もしもの時は臨也さんも道連れにしますね』

「全く。俺もなかなか君から信用されないよね〜」



セルティと新羅の奴等が羨ましいよ、本当に。最後にそうポツリと呟いた臨也さんの表情を窺うに、これはどうやら本音の様だ。何だか地味に凹んでるし。



『……貴方を信用してなかったら、私は今ここにいませんよ』

「それは知ってる♪」



したり顔で臨也さんにそう返事を返された。全く、この人は直ぐに調子に乗る。さっき迄は本当に少し凹んでた癖に。

そこが可愛いと言ってしまえば、それまでなのだが。

―――――――――
…という感じに、罪歌編の触りを少し書いてみました。そう遠くない未来とか言っちゃってる時点で、既に巻き込まれるフラグがしっかりと立っちゃってます(笑
しかし罪歌編の話がこの後続くのかは不明←

そして臨也がセルティに出したのってコーヒーだった様な気が……いや、気のせいだな。うん。(棒読み)

最後に関してはもう勝手にやってろww
  
 
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