感動ブレイカー
「え、ええと、ちょっと待って。本当にあなた誰?」
「貴女の運命の人ですよ、その美しい容姿に違わぬ綺麗な歌声のお姉様v」
戸惑うティアの目の前で跪き、彼女の手を取るゼロス。そのまま彼女の手の甲に口付けをしようとする。
キィン―――…
「響け寄るな帰れロスト・フォン・ドライブ!!」
『集え従え終焉導けエンド・オブ・フラグメント!!』
ドカァアアン
が、寸での所でゼロスの真後ろにアシェル…基、本物のルークとサクが超振動により世界を越えて登場し、ゼロスに秘奥義がぶち込まれた。
『全く、油断も隙も見境も無い女タラシめ…』
「大丈夫だったかティア!アホ神子に汚されてないか!?」
「え、ええ……私は大丈夫だけど……」
渓谷の絶壁に叩き付けられ、セレニアの花畑に沈むゼロスを見据えながら、パンパンと手の埃を軽く払うサク。と、その隣で真剣な面持ちでティアの肩を掴んで彼女の身を案じるルーク。そして、ティアを含むかつての仲間達は、突然の事に反応出来ないでいる。
感動的になる筈の2年振りの彼等の再会は、最早完全にグダグダになってしまっていた。
『…あれ。アッシュは?その辺にいないっぽいけど…』
「まさか、ゼロスと入れ換わりになってまだアッチの世界に残されてたりして……」
『マジかよ。本当いい加減にしろよなローレライ』
そして、超振動で元の世界に帰る過程でアシェルから分離されたアッシュはというと……
「お前は豚か?それとも人間か?」
「ぁあ?レプリカか被験者かみてぇな下らねぇ事きいてんじゃねぇよ、屑が」
「……貴様、ヴァンガードの豚か?(こんな部下いたっけ…?)」
「Σ何っ、ヴァンをガードする豚(モース)だと!?何のふざけた冗談だ気色悪りぃ!!!」
「(か、会話が成立してない!!!)」
オールドラント処かシンフォニアの世界から抜けれず、何故か二年後のR騎士時代に飛ばされ、これまた何故かリヒターと対峙していた。何故だ。本当に何故こうなった。そして一触即発な二人の険悪過ぎる雰囲気(実際はちょっと違う)に、エミルは為す術もなくオロオロしていたそうな。
『結局最後までローレライのせいかよ!!』
「私は悪くない」
「『悪いわっ!!』」
ローレライは【ドジッ仔】の称号を手に入れた。
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